【Q】川畑さん、こんにちは。
50代後半、パート勤務をしています。
先日、半年ぶりくらいに
姉とランチをしました。
姉は私より3歳上で、下に弟がいる
3人きょうだいの真ん中です。
姉とは仲が悪いわけではありません。
普段からたまにLINEをしたり、
母のことや家族のことを
話したりもします。
弟とも関係は悪くなく、
3人で集まることもあります。
なので、姉と会うこと自体が
嫌なわけではありません。
今回も、最初は普通に
楽しく話していました。
近況を話したり、母のことを話したり、
弟の話になったりして、昔のことを
思い出して笑ったりもしました。
弟の話をしていたとき、姉が、
「◯◯は昔から自分の好きなこと
ばっかりやってるよね。今もそうだけど」
と笑って言いました。
私も「そうだね、昔からそうだったね」
と笑ったのですが、
そのあと姉から、「でも、あなたは
昔から人に合わせすぎるところが
あるよね」と言われました。
そのほかにも、「もう少し自分のことを
考えてもいいんじゃない?」
「あなたは何でも考えすぎるんだよ」
など、今回はいつもより少しきついな、
と感じることをいくつか言われました。
姉に悪気がないのは分かっています。
たぶん、私のことを心配して
言ってくれたのだと思います。
でも、ひとつひとつはそれほど
気にするようなことではないのに、
いくつか重なると、
なぜか胸がざわざわしてきました。
考えてみれば、
姉からこういうことを言われるのは
今回が初めてではありません。
子どもの頃、姉は
母から何か頼まれることも多く、
弟は末っ子ということもあって、
何かしても「まあ、弟だから」と
許されていたような気がします。
私はその間で、
姉の言うことを聞いたり、弟に
合わせたりしていたように思います。
姉は昔からしっかりしていて、
私はどちらかというと
姉についていくほうでした。
そんなことを思い出しているうちに、
「私って昔からこうだったのかな」
と考えてしまいました。
姉と話していると、今の自分なら
そんなに気にしないようなことまで
気になってしまうことがあります。
なんというか、姉といると、
私はどうしても少し萎縮してしまう
ようなところがあります。
姉に何か言われると、
「そうなのかな」と思ってしまって、
自分では違うと思っていても、
すぐには言い返せません。
それは姉に対してだけで、
友達といるときは
そんなことはありません。
友達とは、お互いに言いたいことを
言ったり、意見が違っても
それほど気にせず話したりできます。
自分でも、友達とは対等な関係で
付き合えていると感じています。
だから余計に、姉に対してだけ
こうなってしまうことに、
苛立ちのようなものを感じます。
今回は、半年ぶりに会ったからなのか、
私自身が年齢を重ねたからなのか、
いつも以上にその感覚が強くて、
帰宅してから
どっと疲れてしまいました。
翌日になっても、姉に言われたことが
頭から離れませんでした。
姉のことが嫌いなわけではありません。
昔から私のことを気にかけてくれて、
助けてもらったこともたくさんあります。
これからも普通に姉妹として
付き合っていきたいと思っています。
ただ、今回は、かつてないぐらい
姉からの当たりが強かった気がして、
昔の姉妹関係を思い出し、
やっぱり私は姉には敵わないのかなと、
落ち込みました。
姉といると、どうして私はこんなふうに
なってしまうのでしょうか。
これから先も姉といい関係でいるため
には、私はどうすればいいのでしょうか。
教えていただけたら嬉しいです。
【ドラミ・50代・女性・パート勤務】
【A】ドラミさん、
ご相談ありがとうございます。
お姉さんに「あなたはこういう人間だ」
というレッテルを貼られてしまい、
「やっぱり私は姉には敵わない」と、
傷つき、消耗してしまったのですね。
家族の中の「役割」というのは、
今でも私たちの体が覚えているものです。
私たちは子どもの頃、家族の中で
自分なりの居場所や役割を
身につけて育ちます。
ドラミさんの場合、
しっかり者のお姉さんと、
許されやすい末っ子の弟さんの間で、
「姉の言うことを聞く」「弟に合わせる」
という役割を担ってこられたのでしょう。
それは小さなドラミさんが
家族の中でうまくやっていくための、
大切な工夫でした。
アメリカの精神科医マレー・ボーエンは、
家族をひとつの「システム」として
捉える理論を作りました。
家族はそれぞれが役割を持ち、
互いに影響し合いながらバランスを
とっている、という考え方です。
そして子どもの頃に身につけた
役割や反応のパターンは、
大人になっても心の中に残り続けます。
ボーエンが大切にしたのが
「自己分化」という考え方です。
少し難しい言葉ですが、噛み砕くと
「家族とのつながりは大切にしながらも、
自分は自分でいられる力」のことです。
興味深いのは、この力は相手や場面
によって揺らぐということです。
職場や友人関係ではしっかり自分を
保てる人でも、親やきょうだいと会うと、
ふっと子どもの頃の反応に
引き戻されてしまう。
ボーエンは、これを多くの人に
起こることとして説明しています。
ドラミさんが友達とは対等に話せるのに
お姉さんの前でだけ萎縮してしまうのは、
まさにこの状態でしょう。
お姉さんは、ドラミさんの
「妹としての役割」が生まれた、
その相手です。
ですので、向き合うと、
心と体が昔のパターンを思い出し、
自然と「妹の自分」に
戻ってしまうのです。
これはドラミさんが弱いからでは
ありません。
それだけ長い時間をかけて
身についたものだということです。
お姉さん自身は、無意識のうちに
ペアレンティングチャイルドと
呼ばれる、親の役割を担う
年長のきょうだいとしての関係に
入り込んでしまい、
「私がしっかり妹をみてあげなければ」
という姿勢になってしまうのかも
しれません。
今回は、「人に合わせすぎる」
「考えすぎる」という言葉が重なった
ことで、
ひとつひとつは小さくても、
子どもの頃の感覚が一気に
呼び起こされたのだと思います。
私たちの感情は、
出来事そのものよりも、それを
どう受け止めたかによって生まれます。
お姉さんの言葉を受けて、
ドラミさんの中に浮かんだのは
「私って昔からこうだったのかな」
「私は姉には敵わない」
という思いでしたが、
この考えが、落ち込みや苛立ちを
強めていたのかもしれません。
では、この考えは事実かというと、
そうではありません。
ドラミさんは今、
友達と対等な関係を築けています。
意見が違っても気にせず話せる力を
持っています。
それは昔のままの自分ではなく、
50年以上かけて育ててきた
今のドラミさんの姿です。
そしてもうひとつ、
姉妹の関係は「敵う・敵わない」で
測るものではありません。
お姉さんに言い返せないことは
決して負けではありません。
ですので、「勝ち負けの土俵」に
乗らなくてもいいのです。
かわりに、
このように受け止めることもできます。
「姉の前で萎縮するのは、
昔の役割が反応しているだけで、
今の私がダメなわけではない」
「姉の言葉は、姉から見た私の一面。
全部を受け取らなくてもいい」
「私は姉に敵わないのではなく、
姉とは違うやり方で生きてきた」
このような意識の切り替えにプラスして、
これからドラミさんがお姉さんと
いい関係でいるために、いくつか、
できそうなことを挙げてみます。
1つめは、「あ、今、昔に戻ってる」
と気づくことです。
胸がざわざわしたら、それが合図です。
気づくだけで、昔のパターンと
今の自分の間に少し距離が生まれます。
ボーエンの言う
「自分は自分でいられる力」は、
この小さな気づきの積み重ねで
育っていきます。
2つめは、すぐに言い返さなくていい
と自分に許すことです。
「そう見えるんだね」
「そうかな、私は最近わりと
自分のこと考えてるよ」と、
軽く受け流すだけでも十分です。
言い返せなかった自分を
責める必要もありません。
3つめは、もし伝えたくなったら、
責める形ではなく
自分の気持ちとして伝えることです。
「心配してくれてるのは分かるんだけど、
いくつも言われるとレッテル貼りを
されているようでちょっと落ち込むな」
など。
お姉さんはきっと悪気なく話していて、
ドラミさんがそう感じていることを
知らないだけかもしれません。
4つめは、会ったあとの自分を
いたわることです。
疲れるのは当然のことと思って、
帰宅後はゆっくりお茶を飲む、
好きなことをするなど、
自分をねぎらう時間をとってください。
お姉さんへの苛立ちの奥には、
「本当は姉とも対等でいたい」という
ドラミさんの願いがあるように感じます。
その願いがあるからこそ、
今回これほど心が動いたのでしょう。
年齢を重ね、お母様のことなど
家族で向き合うことも増えていく時期です。
昔の関係を思い出したのは、
今のドラミさんとして、
お姉さんとの関係を少しずつ
結び直していくタイミングなのかも
しれません。
お姉さんを大切に思う気持ちと、
自分自身を大切にする気持ち。
その両方を大事にしてください。
ー川畑のぶこ
★川畑のぶこリード
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