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【Q】川畑さん、こんにちは。

先日の自分の誕生日のことが、
どうしても頭から離れません。

その日は土曜日で、夫も休みでした。

朝、夫から「今日、昼か夜、
何か食べにでも行く?」と聞かれました。

夫は土曜日も仕事で不在のことが
多いのですが、今回は休みが取れて
一日家にいられるということもあり、
聞いてくれたのかなと思いました。

本当は、最近できたお店に行って
みたい気持ちも少しありました。

でも、夫も疲れているかもしれないし、
別に今日じゃなくても、
また今度でもいいかとも思い、

とっさに「うーん、別にいいかな。
家にあるものでいいんじゃない?」
と答えました。

夫が「あ、そう?」と言ったので、
そのままお昼は家で簡単に済ませました。

午後も特に予定はなく、テレビを見たり、
スマホを見たりして過ごしました。

夕方になって、夫が突然、
「じゃ、俺ちょっと出かけてきていい?」
と言いました。

駅のほうに用事があるとのことで、
私は「うん、いってらっしゃい」
と送り出しました。

夫は2時間ほどで帰ってきました。

特に何か買ってきたわけでもなく、
花やケーキがあるわけでもありません。

「ただいま」と、いつもと変わらない
様子で帰ってきました。

もちろん、夫を責めるつもりはありません。

私自身が「何もいらない」
「どこにも行かなくていい」
と言ったのですから、

夫は私の言葉を
そのまま受け取っただけです。

それなのに、
夫が手ぶらで帰ってきたのを見たとき、
なぜか無性に悲しくなりました。

「今日、私の誕生日なのにな……」と。

そして同時に、そんなことを思った
自分にも嫌気がさしました。

私はいったい、
夫に何をしてほしかったのでしょう。

本当は、どこかに食事に連れて行って
ほしかったのかもしれません。

花を買ってきてほしかったのかも
しれません。

「今日はあなたの誕生日だから」と、
私のために何か考えてほしかったの
かもしれません。

でも、それを自分から言うことは
できませんでした。

夫が夕方、「ちょっと出かけてくる」
と言って、ふらっと身軽に出て行った
ことも、なぜか羨ましく感じました。

私だって、行きたいところがあれば
行けばいい。

食べたいものがあれば、
「これが食べたい」と言えばいい。

そんなことは分かっています。

でも、「じゃあ、あなたは何が
したいの?」と自分に聞いてみると、
答えが出てきません。

そういえば、ここ1〜2年くらい、
夫に「何食べたい?」と聞かれても
「何でもいい」、

どこかへ行こうと言われても
「どこでもいい」と答えることが
増えたような気がします。

前回の誕生日も、「何か欲しいもの
はある?」と聞かれて、
「特にない」と答えた記憶があります。

私は私で、
パートですが仕事もありますし、
夫婦仲が悪いわけでもありません。

子どもたちも元気にしていますし、
日常生活に何か不満があるわけでは
ありません。

なのに、心から楽しみにしていることや、
今後やってみたいと思うことが、
最近あまり思い浮かばないのです。

今回の誕生日のことをきっかけに、
「私って、何を楽しみに
毎日を過ごしているんだろう」
と考えるようになりました。

自分からは具体的に何も望んでいないのに、
心の中では誰かに何かをしてもらうことを
期待していた自分に気づいてしまい、

もしかしたら私はこれまでの人生
ずっとこうだったのかも?
と考えてしまいました。

そして、夫が自由に自分のしたいことを
している姿を見て、羨ましいと思った
自分にも今更ながら驚きました。

夫はこれまでもずっとこんな人だった
のに、なぜ今、私はそんなふうに
思うのでしょう。

こんなふうに感じるのは、
私の何が原因なのでしょう。

私の中で、何が起きているのでしょうか。。。
川畑さんに分析していただきたいです。

どうかよろしくお願いいたします。

【あけぼー・50代・女性・パート勤務】

【A】あけぼーさん、
ご相談ありがとうございます。

ご自身の誕生日に、
夫がいつもと変わらない様子で
帰ってきたときの悲しさ。

そして、「自分が断ったのだから、
悲しむのはおかしい」と、
その気持ちまで責めてしまう苦しさが
伝わってきました。

誕生日というスペシャルな日に、
誰かに祝ってほしい、
自分のために何か考えてほしいと
願うことは、自然なことで、
決して身勝手ではありません。

たとえそれを自分から
うまく伝えられなかったとしても、
その願いを持つこと自体を
否定する必要はありません。

もしかしたら、あけぼーさんの中で、
ご自身の望みを感じることと、
その望みを表に出してよいと思える
ことの間に、少し距離ができている
のかもしれませんね。

今回、「最近できたお店に行ってみたい
気持ちも少しありました」と書かれて
いますが、これは、小さくても確かな
あけぼーさんの望みです。

ですので、「何をしたいか」を
わかっているということです。

ところが、その気持ちを言葉にする前に、
あけぼーさんの中に

「夫も疲れているかもしれない」
「今日でなくてもいい」
という配慮が出てきました。

夫の実際の気持ちを確かめるより先に、
想像して、ご自身の希望を引っ込めた
のですね。

もし日頃から
こうしたことが重なっているなら、

「私はどうしたい?」と感じるよりも、
「相手に負担をかけないためには
どうしたらいい?」と考えるほうが、

あけぼーさんにとって自然になっている
可能性があります。

相手への配慮は大切な力です。

ただ、そのたびに自分の気持ちを
後回しにしていると、

いざ自分に問いかけたときに、
答えをつかみにくくなることもあるでしょう。

あけぼーさんが誕生日に望んでいたのは、
食事や花という具体的なものに加えて、

「あなたが生まれた日を、
私も大切に思っているよ」という気持ちが
伝わることだったのかもしれません。

「何が欲しい?」と聞かれても、
品物は浮かばない。

でも、自分のことを思って選んでくれた花
があればうれしい。

行きたい場所がはっきりしなくても、
「今日は一緒にお祝いしよう」
と言ってもらえれば心が温まる。

バースデーカードで
気持ちを伝えてくれたら嬉しい。

そのように、
欲しい「モノ」が決まっていなくても、
受け取りたい関わりは明確にあるのです。

「何もいらない」と答えた自分と、
「何かしてほしかった」と悲しんだ自分は、

矛盾しているようでいて、それぞれに
理由があったのではないでしょうか。

相手を気遣う気持ちも、
大切にされたい気持ちも、

どちらもあけぼーさんの本当の気持ち
だったのでしょう。

そして、
夫が身軽に出かける姿への羨ましさも、
ご自身を知る手がかりになりそうです。

夫が何をしに行ったかということ以上に、
「自分の用事や希望を、
そのまま行動に移せること」が
羨ましかったのかもしれません。

自分は何かを望むときに、
相手の疲れや都合をあれこれ考えすぎる。

夫は「ちょっと出かけてくる」と言って
出かけられる。

その違いを見て、「私も、もう少し
自分の気持ちを優先してみたい」と
感じた可能性があります。

誕生日という、自分に目を向ける日に、
いつもの過ごし方と本当の願いとの
隔たりがはっきり感じられたのかも
しれませんし、

寂しさや羨ましさを通して、
ご自身の願いに気づき始めているの
かもしれませんね。

今回の出来事だけで、
「私はこれまでの人生ずっとこうだった」
と結論づけなくても大丈夫です。

ここまでの経験があるからこそ、
大切な方向性に気づけて
新たな舵取りができることもあります。

まずは、今の自分が何を感じているかを、
丁寧に気づいてあげましょう。

そのために、いきなり
「何を楽しみに生きたい?」
「これから何がしたい?」という大きな問い
に答えようとしなくても大丈夫です。

今日のお茶は温かいものと冷たいもの、
どちらがいいかな。

家で休むのと、外を歩くのと、
どちらが心地よさそうかな。

お店の写真を見て、
少し気になるものはあるかな。

そんな小さな選択で、
「どちらかといえば、こちらかな」
を拾ってみてください。

正解を選ぶ必要も、選んだものを
最後まで好きでいる必要もありません。

試してみて「思ったほどではなかった」
と分かることも、自分を知る一歩です。

誰かがケーキの詰め合わせを
差し入れてくれたなら、
たまには自分から食べたいものを
選んでみてください。

夫に聞かれたときも、
すぐに「何でもいい」と答える代わりに、
「ちょっと考えさせて」と
時間をもらってください。

その結果、「何でもいい」と
答えても構わないですし、

「私はあのお店が気になっていて、
一度行ってみたいと思っていたんだけど
どう?」と伝えても構いません。

家にいると決めたのなら、
「お花とケーキで祝ってもらえると
嬉しいな」と伝えたっていいわけです。

こう伝えれば、
ご自身の希望を大切にしながら、
夫の都合も確かめられます。

希望を伝えることは、相手に必ず応じる
ことを求めることとは違います。

二人で相談するための大切な情報を
相手に渡すことなのですね。

もちろん、今回の誕生日について、
今から話してみてもかまいません。

「この前、食事に誘ってくれたのに、
 遠慮して断ってしまったんだ。
 でも、あとから何もないことも
 寂しくなって、

 何か豪華なものが欲しかったというより、
 一緒に誕生日をお祝いしたかったんだ
 と気づいたの。

 もしよかったら、今度あのお店で
 お祝い直ししてくれる?」

そんなふうに、後から分かった気持ち
として伝えてみてはいかがでしょう。

夫が自発的に考えてくれることに
喜びを感じるなら、
そのことも伝えてよいのです。

「あなたが私のために何か考えてくれる
と、うれしいんだ」と。

お願いしたからといって、
その後に受け取るものの価値が
なくなるわけではありません。

今回も、夫からすると
「何もいらない」というあけぼーさんの
言葉を素直に受け取り、

欲しくもないものをあげるよりも、
あけぼーさんの希望を
大切にしたのかもしれません。

一方で、ここ1、2年、楽しみや関心が
浮かびにくくなっている点は、
遠慮する習慣だけで説明しきれないかも
しれません。

以前楽しめていたことも
楽しめない状態が続いたり、

睡眠や食欲、気力の変化などがある場合は、
抑うつ症状や更年期症状でもみられるため、
かかりつけ医や専門家にも相談することで
症状が軽減する可能性もあります。

まずは「祝ってほしかったんだね」
「私も、自分の気持ちで動いてみたいんだね」
と、ご自身に声をかけてあげてください。

夫の気持ちを気遣ってきたように、
あけぼーさん自身の小さな希望にも、
耳を傾けてご自身を大切にしてください。

ー川畑のぶこ

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