【Q】川畑先生、こんにちは。
いつもメルマガを楽しみにしています。
58歳、会社員です。
長年続けてきた趣味についての相談です。
私は15年以上、
コーラスサークルに通っています。
歌うことが好きで始めた趣味でしたが、
仲間にも恵まれ、毎週の練習を
とても楽しみにしていました。
発表会やイベントもあり、
「仕事以外にも自分の居場所がある」
と感じられる、大切な時間でした。
ところがここ1〜2年、
サークルへ行くのが
少しずつ億劫になってきました。
先生や仲間との人間関係が
悪いわけではありません。
皆さん親切ですし、
居心地が悪いわけでもありません。
それなのに、練習の日になると
「今日は休みたいな」と思ってしまいます。
行けばそれなりに楽しいのですが、
帰ってくるとどっと疲れてしまい、
「前はこんなことなかったのに」
と感じます。
歌そのものが嫌いになったわけでは
ありません。
好きな歌手の新曲が配信されると
繰り返し聴いて一緒に歌いますし、
以前からよく見ている合唱団の
YouTubeも今でも楽しみにしています。
音楽と触れ合っている時間は、
今でもとても楽しく、
心が満たされるのです。
だからこそ、「歌は好きなのに、
どうしてサークルには行きたくないん
だろう」と、自分でも戸惑っています。
年齢のせいなのか、
仕事で疲れやすくなったのか、
自分でもよく分かりません。
親しい友人には、「少し休んでみたら?
また行きたくなったら戻ればいい
じゃない」と言われました。
私もそうできたら
気が楽なのかもしれません。
でも、15年も続けてきた趣味を
休んだり、やめたりすることに、
どこか後ろめたさがあります。
これまで「続けること」に意味がある
と思ってきたので、
「途中でやめる私は根気がないのでは」
と思ってしまう自分もいます。
もしかしたら、今の私はこの趣味を
卒業する時期なのでしょうか。
それとも、一時的な気持ちだから、
もう少し続けた方がいいのでしょうか。
好きだったことや趣味も
「断捨離」するタイミングが、
人生にはあるのでしょうか。
【みさき・50代・会社員】
【A】みさきさん、こんにちは。
メルマガをいつも楽しみにしてくださって
いるとのこと、ありがとうございます。
みさきさんが15年続けてこられた
コーラスサークルへの気持ちの変化が
とてもよく伝わってきましたし、
ご自身の内側の声にとても正直に、
繊細に耳を傾けていらっしゃるのが
伝わってきました。
あんなに好きだったものがなぜ?
私は何かおかしいの? と
ご自身を疑ってしまうのでしょうが、
人生とは無常、
私たちの体も心も、自然と一緒で、
常に移り変わるものですね。
大切なのは、今・ここ・私。
今のみさきさんにとって大切なものを
常に選び抜く姿勢をぜひ大切にしてください。
58歳ともなると、
以前に比べて気力も体力も落ちて、
活動レベルも変わります。
これまでの活動が億劫に感じるようになる
のも当然ですので、まずは自然の摂理を
受け入れる勇気が必要ですね。
それでも、みさきさんは
決して歌が嫌いになったわけではなく、
新曲を繰り返し聴いて口ずさむ時間、
合唱団の映像を見る時間など、
歌や音楽との関わりは豊かなままのようです。
ここでみさきさんに覚えていただきたいのは、
「歌うこと」と「サークルに通うこと」は、
似ているようで
実は別のものだということです。
サークルには、そこまでの移動、
練習の拘束時間、仲間との関わり、
発表会への準備など、音楽そのもの以外にも
たくさんの要素が重なっています。
物理的にも心理・社会的にも
それなりの負荷はかかっているのです。
さらに、ご自身の仕事の負荷、睡眠、
ホルモンバランスなど、さまざまな要因で
以前とはエネルギーの使い方が
変わることがあります。
もしコーラスに限らず、
以前楽しめたこと全般への興味が薄れたり、
疲労感や気分の落ち込みなどが
続いたりするなら、
心身の状態を一度確認することも大切です。
過去には許容範囲だったことも、
今の自分にはオーバーキャパということが
考えられます。
疲労感は、「今の私に合った関わり方」を
教えてくれている大切なメッセージだと
受け止めてみてください。
「今日は休みたい」「帰るとどっと疲れる」
という体の声を無視し続けて頑張ることは、
かえってご自分を追い込んでしまいます。
「継続は力なり」という考えがある一方で、
「勇気ある退陣」もまた
人生の大切な戦略です。
もちろん、卒業か継続かを、
今すぐ白黒つける必要はありません。
お友達が言われたように、
まずは「少し休む」という選択肢は
悪くないのではないでしょうか。
せっかく15年もやったのに、と思うかも
しれませんが、サークルを離れることは
決してその15年間が
無駄になることではありません。
心理学や行動経済学には
「サンクコスト(埋没費用)」という考え方
があります。
すでに費やした時間やお金、労力を惜しむ
あまり、今の自分にとって最善ではなく
なった選択を続けてしまうことなのですが、
「15年も続けたのだから」という
過去の15年と、
「これからの私がどうしたいか」は、
本来別の問題です。
むしろ、15年やってきたからこそ
至る境地がありますし、離れたからこそ
改めて知る価値もあるのです。
サークル活動をひとつの軸に、
ご自分の心身の変化に気づき、
それにしなやかに、
正直に向き合えることは、
人生の豊かさであり成熟した智恵です。
歌や音楽が好きでなくなったわけではなく、
それらと関わる形態が変わっただけ、
「サークルというかたち」で歌に関わる
季節が終わっただけではないでしょうか。
みさきさんの音楽への愛情は、
形を変えてこれからもみさきさんの中に
あり続けることと思いますし、
その関係性は大切にしてください。
どうか、まずはご自身の体の声に従って、
これまでの15年間を称えてあげてください。
断捨離は不要なものをただ手放すだけに
留まらず、今の私との関係性を問い直し、
大切なものを選び抜くことで
人生を輝かせる智慧です。
ー川畑のぶこ
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