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【Q】川畑先生、こんにちは。

先日、学生時代からの友人4人で、
一泊の温泉旅行に行きました。

みんな30年以上の付き合いで、
年に何度か集まったり、時々こうして
旅行に行ったりしています。

今回も行く前は楽しみにしていました。

でも、帰ってきてから、何だか
とても疲れている自分に気づきました。

一泊だけとはいえ、ずっと一緒にいると
普段は見えないことまで
見えてくるものですね。

今回、特に気になったのは、
友人2人の振る舞いでした。

食事の時に、お店の人への言い方が
少しきつかったり、
みんなで決めた予定なのに
「私はこっちがいい」と急に言い出したり。

部屋でも、自分が使ったものを
そのままにしていたり、
誰かが片づけてくれるのを当たり前の
ようにしているように見えたり。

昔からそういうところが
あったのかもしれません。

でも、若い頃は、こんなに
気にならなかったと思います。

「そういう人だから」と笑って済ませて
いたようなことが、今回はなぜか
いちいち気になってしまいました。

その場では何も言いませんでした。

旅行中に空気を悪くするのも嫌ですし、
もう何十年も付き合っている友人です。

でも、心の中では何度も
「どうしてそんなことをするんだろう」
と思っていました。

帰りの電車では、
やっと一人になれると思ったら、
正直ほっとしている自分がいました。

そして家に帰ってからも、
あの時のことや、この時のことを
思い出しては、何だかモヤモヤしています。

でも、考えているうちに、
自分も同じように誰かを疲れさせている
のかもしれないと思うようになりました。

長年の付き合いだからと、
自分では気づかないうちに
相手に甘えていたり、

わがままに振る舞っていることも
あるかもしれません。

そう考えると、余計に
何が正しいのか分からなくなります。

友人たちのことが
嫌いになったわけではありません。

長い間、一緒に笑ったり、悩みを
話したりしてきた、大切な友人です。

でも、以前のように
「またみんなで旅行に行きたい」と
素直に思えない自分もいます。

次に誘われたら、行くのが面倒だなと
思ってしまいそうです。

最近は、この友人たちに限らず、
人と会った後に以前より疲れるように
なった気がします。

楽しくないわけではないのです。
会っている時は笑っているし、
それなりに楽しいと思っています。

それでも、
家に帰ると一人になりたくなります。

私は今年61歳です。
年齢を重ねて、人付き合いの仕方が
変わってきたのでしょうか。

それとも、私の方が人に対して
細かくなったり、我慢ができなくなったり
しているのでしょうか。

このまま人付き合いを面倒に感じるように
なって、だんだん友人と疎遠になって
しまうのも少し寂しい気がします。

でも、無理をしてまで会いたいとも
思えません。

自分でも、何を相談したいのか、
うまくまとまっていないのですが、

旧友との一件を境に、最近、
人付き合いが急に面倒に感じるように
なってきた自分に、少し戸惑っています。

【かおり・60代・女性・パート】

【A】30年来のご友人との旅行をきっかけ
に、人付き合いについて考えるように
なったかおりさんなのですね。

決して友人たちのことが
嫌いになったわけではない。

会えば楽しいし、大切な人たちでもある。
でも、ずっと一緒にいると疲れる。
そして、一人になるとほっとする。

私たちの身体は正直ですね。

でも、アタマは身体や心の底の声を
歪めて抗い、これまでのテンプレに
私たちをはめ込もうとしがちですね。

「私の心が狭くなったのだろうか」
「年齢とともにワガママになってしまった
のだろうか」と自分を責めてしまう。

でも、年齢とともに「我慢できなくなる」
ものが出てくるのは極めて自然なことです。

今のかおりさんの状態は、
「人付き合いが面倒になった」というよりも

自分にとって心地よい人との距離が
以前よりはっきりしてきたのでは
ないでしょうか。

若い頃というのは、体力も好奇心もあって、
人との関係を広げたり、深めたりすること
に多くのエネルギーを使います。

友達と長時間過ごしたり、
夜遅くまで語り合ったり、

多少相手に気になるところがあっても
「まあ、いいか」と流せたりするでしょう。

一方、年齢を重ねるにつれて、
私たちは時間や体力も有限であること
を実感するようになります。

もしも、私の人生に残された時間が

あと1年だったら…
あと1ヶ月だったら…
あと1週間だったら…

こんなふうに有限性の解像度を上げて
いくと、「いったい私は誰と、
どのように時間を過ごしたいのか」が
自ずと明確となり、選択しやすくなる
のではないでしょうか?

このことで、かおりさんが人生で大切に
したいものがより鮮明になってきます。

お店の人にも敬意をもって接したい。
みんなで決めたことは尊重したい。

共同の場では、自分のことだけでなく
周囲にも配慮したい。

かおりさんにとって、そうした価値観
が大切なんだということが、
年を重ねたからこそ浮き彫りになり、

それに反する行動を目にしたときに、
以前より違和感を覚えるのでしょう。

かおりさんにぜひ区別していただきたい
のは、「大切な友人」と「ずっと一緒に
いたい人」は必ずしも同じとは限らない
ということです。

30年来の友人で、長い歴史があることと、
現在の生活スタイルや価値観が
完全に一致していることは別の話です。

学生時代には朝から晩まで一緒にいて
楽しかった相手でも、いまは年に数回
会うくらいが心地よい人もいれば、

旅行に行って朝から晩まで一緒にいても
疲れない人もいるでしょう。

人間関係には、それぞれに
ちょうどいい濃度や頻度があります。

今回の旅行は、その友人たちとの関係が
悪くなったというより、

この人たちとは旅行よりも、時々食事を
するくらいが心地いい、ということを
教えてくれたのかもしれません。

次に旅行へ誘われても、気が進まなければ、
「今回はやめておくね。でも、またランチ
しよう」と爽やかに返せばいいのです。

友情を続けるか、縁を切るか、という
二択にする必要はありません。

かおりさんは最近、他の人と会った後に
一人になりたくなることが増えたことも、
無視してはいけない大切なサインだと
思います。

人と一緒にいるというのは、
楽しいことでもありますが、同時に
エネルギーを使うことでもあります。

相手の話を聞き、表情を読み、
場の空気を感じ、相手に合わせ、
会話のタイミングを考える。

私たちは、意識している以上に
たくさんの情報を処理しています。

ですから、人と会って楽しかったことと、
帰宅して一人になりたいことは
決して矛盾しません。

ただ、その疲れを
「人付き合いが嫌になった証拠」と
決めつけないことです。

一人になることで、かおりさんの
エネルギーを回復させる時間が
以前より増えているのなら、
その時間を尊重してあげてください。

スマホも年を経るごとに充電サイクルが
早まるように、

かおりさんの「一人になりたい」時間は、
単に充電サイクルが早まっただけかも
しれません。

「自分も同じように誰かを疲れさせて
いるのかもしれない」という振り返りも、
かおりさんの誠実さが表れていると思います。

もちろん、私たちは誰しも完璧では
ありませんし、自分では気づかないうちに
相手に甘えたり、気を遣わせたりすること
もあるでしょう。

でも、それは「だから友人の振る舞いも
我慢しなければならない」ということ
ではありません。

お互いに不完全だからこそ、
適度な距離が必要なのです。

相手に無理をさせたくないなら、まず

かおりさん自身が無理をやめることです。

いつも素直な人には相手も
心をオープンにしやすいものです。

すべてを許容できることが、
よい友情なのではありません。

相手には相手の癖があり、自分には
自分の癖があることを認めつつ、
無理なく付き合える距離を見つけるのが、
大人の友情なのではないでしょうか。

人生には、人間関係の衣替えのような
時期があります。

過去に似合っていたものや
纏っていたことが、今の私には
そうでないことがあるものです。

「今の私には、どんな人付き合いが
心地よいのだろう?」を
常に問い直してみてください。

過去の友情に感謝しながら、
現在の自分にふさわしい距離を
選んでもいいのです。

むしろ、そのように自分に無理を
させない距離を知ることで、相手を
嫌いにならずに済むこともあります。

30年間続いた友情は、
「これからも同じ形で付き合い続け
なければならない」という契約ではなく、

それらの価値は、
これから会う回数が減ったとしても、
なくなるものではないでしょう。

近づいたり、離れたりしながら、
自分を大切に、お互いが心地よく
いられる場所を見つけていく。

それもまた、長い人生を
ともに歩んできた友人との、
成熟した付き合い方なのだと思います。

ー川畑のぶこ

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