beautiful yellow Sunflower

【Q】61歳、専業主婦です。

2年前に夫が定年退職し、
現在は再雇用で働いています。

子どもたちは独立し、
住宅ローンも終わりました。

年金や退職金についても
ファイナンシャルプランナーに相談し、
「普通に生活する分には心配ありません」
と言っていただいています。

それなのに、
私はお金を使うことができません。

夫から旅行に誘われても、
「今はやめておこう」と断ってしまいます。

服もリサイクルショップで買うことが多く、
新しいものはもう2〜3年買っていません。

壊れかけた家電も、「まだ使える」と思うと
買い替えることができません。

夫からは、「そんなに我慢して、
何のために貯めているんだ」と言われます。

私自身も、その通りだと思います。
でも、お金が減ることが怖いのです。

若い頃は、教育費や住宅ローンのために
節約するのは当たり前でした。

でも今は、
その頃より生活に余裕があるはずなのに
節約することが当たり前になってしまい、

お金を使うことに
罪悪感のようなものまで感じます。

気づけば、「使わないこと」が
目的になっているような気もします。

毎月家計簿をつけていますが、
うまくやりくりできて貯金に回せた時は
とても大きな喜びと安心感を感じます。

でも、このままでは、
せっかく自由な時間ができても
何も楽しめないまま
年を重ねてしまいそうです。

私は、どうしてこんなにも
お金を使うことが怖いのでしょうか。

これから先、お金とどのように
付き合っていけばよいのでしょうか。

【サッチ・60代・専業主婦】

【A】サッチさん、
ご相談ありがとうございます。

長年にわたり、お子さんの教育費を
工面し、住宅ローンを返済し、
ご家族の生活を支えてこられたとのこと、

まずはご自身に
盛大な拍手をしてあげてください!

今ではお子さんも独立し、
ファイナンシャルプランナーからも
「普通に生活する分には心配ありません」
と言われているにもかかわらず、

お金を使うことが怖くて仕方がない。
サッチさんの不安がよく伝わってきました。

まず、私たちには生存本能から
「溜める」傾向があります。

近年、行動経済学の分野からも
「プロスペクト理論(=損失回避)」
という考え方があり、

人は何かを得る喜びよりも、
失う苦痛をおよそ2倍強く感じる
ということが報告されています。

特に定年後は、
「これから大きく収入を増やすことは
難しい」という意識も重なり、

「資産が減ること」が実際以上に
脅威として感じられやすくなることと
思います。

有史以来、人類は足りなくて困った歴史が
大半を占めているわけですし、

遺伝レベルでも私たちは祖先から、
生きる知恵として「蓄えること」を
学んできています。

モノも溜めますし、脂肪も溜めますね。

サッチさんは、遺伝レベルでも、個人レベル
でも、長年家族の生活や人生のために
貯めることを学んできたわけですし、

しっかりと貯蓄することは、
ご家族への愛情表現であり、
責任を果たす行為でもあったのでしょう。

何十年もその生活を続けていれば、
節約できる私には、「忍耐強い私」
「家族を思う良き妻・母」「慎ましい人間」
という自己像が育っていきますから、

それを簡単に手放すのは、
これまでの自分を否定してしまうような
気になるのではないでしょうか。

このように、サッチさんにとって
節約は単なる行動ではなく、
アイデンティティの一部なのかも
しれませんね。

ですので、今の状態は必ずしも
サッチさんの性格や意志の弱さの問題とは
限らないということも知っておいてください。

私たちにとって、アイデンティティーを
覆すのはこのうえなく恐怖ですから。

ただし、お金をご自身のために使うことは、
過去の価値観やアイデンティティーの否定
ではなく、
ステップアップと考えてみてください。

過去の自分と入れ替えるのではなく、
これまでがあったからこそ、
それを土台に次のステップに移行するのです。

過去の自分をきちんと含みつつ、
称えつつ、それを超えて未来に前進します。

心理学者アブラハム・マズローは、
人間の欲求には段階があると考えました。

ピラミッドの土台は、まずは食べること、
住むこと、安全に暮らすことといった
「生存」の欲求を満たすことで、

その土台が整ってはじめて、
人とのつながりや、人生の充実、
自己実現といった、より高次の
心理社会的欲求の充足へ移行していく
という考え方です。

サッチさんは長年、
ご家族の生活を守るために、まさに
生理的欲求の充足や安全欲求の充足など、
「生存」の段階は
ひとまずクリアできているわけです。

本来であれば、ここからは
人生の次の段階なのですが、
心だけがまだ以前のステージに
留まり続けているのかもしれません。

ですので、ここからはぜひ、
階段を上るイメージをしながら、

私はいま、「どう生き延びるか」から
「どう幸せに生きるか」へシフトする
段階を踏んでいるのだ、
ということを思い出してみてください。

これは、「いつかのため」から、
「今日という人生を豊かに味わう」
ことへのシフトでもあります。

単に節約をやめるということではなく、
人生のステージが変わったことに合わせて、
お金の役割もご自身とともに
成長させていくということなのです。

もちろん、ステージを上がってみて
「ちがうな」と思ったら、ステップダウン
して戻ったって良いわけです。

いちどステップアップしてしまったら
二度と取り返しのつかないことになる
わけではありません。

「使わないことが目的になっている
ような気もします」と
サッチさんご自身もお気づきの様子。

本来、お金は人生を豊かにするための
手段であり、私たちの人生の目的は
幸福を体験することです。

健康も、お金も、長生きも、
それ自体が目的ではありません。

それらは、自分らしく人生を味わう
ための土台です。

人生を支える道具が人生そのものに
なってしまうと、本来味わえるはずの
豊かさを失ってしまいます。

ですから、私は「もっとお金を使い
ましょう」とは言いません。

「私は何のために、このお金を貯めて
いるのだろう」と問い直してみてください。

そして、少しずつでいいので、
ご自身のために「お金を使う練習」を
身につけてみてください。

たとえば、壊れかけた家電を買い替えて
便利さをじっくり味わう。

季節に一着新しい服を買って、
旬を纏い、その感覚をじっくり味わう。

旅行の前に、ご主人と一緒に
「いつか行ってみたかった」レストラン
に行ってみて、
二人の時間にお料理を堪能するなどです。

そして、
そのあとに自分に問いかけてください。

「本当に困ったことは起きただろうか。」

「お金を使うと危険だ」という思い込みが
本当に現実なのかを、
小さな体験を通して反証してみてください。

そして、ステップアップした新しい経験
で上書きしてみてください。

家計簿にも新しい項目として、
人生を楽しむためのお金を
加えてみてください。

あらかじめ予算として確保したなら、
楽しむために使わなければいけないお金
というルールで運用します。

節約の記録を、「使ってよかったこと」
や「得られた幸せ」の記録にしてください。

旅行で見た景色。
ご主人と笑った時間。

お金は減ったのではなく、
人生の質へと姿を変えたのです。

私たちは呼吸をするとき、
吸うことだけはできません。

吐くから、また吸うことができます。

血液も流れているからこそ
生命を支えます。

お金も同じように
循環するエネルギーです。

サッチさんの喜びのエネルギーも
お金とともに循環することを
覚えておいてください。

人生の終わりに残すべきは
通帳の残高ではなく、素敵な思い出であり、
それこそが本当の財産ではないでしょうか。

どうかこれからは、お金に
人生を豊かにするためのパートナー
としても働いてもらってください。

ー川畑のぶこ

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ミドさん(50代・女性・会社員)
のご相談にお答えします。

【Q】川畑先生、こんにちは。
いつもYouTubeで
学ばせていただいています。

自分でもうまく説明できない不安
について相談させてください。

私は56歳の会社員です。
同い年の夫も会社員で、子どもは
社会人になり独立しています。

ありがたいことに、
今すぐ生活に困るような状況では
ありません。

住宅ローンもあと数年で終わりますし、
夫婦とも大きな病気もなく働けています。

それなのに、ここ数年、
老後のことを考えると
不安でたまらなくなります。

年金は足りるのだろうか、
病気になったらどうしよう、
親の介護が長引いたらどうなるのだろう、
一人になったら
どう生きていけばいいのだろう。

そんなことばかり考えてしまいます。

特に夜になると不安が強くなり、
スマホで老後資金や介護、
年金の記事を読み漁ったり
動画をいくつも見たりしてしまいます。

そして余計に不安になるという
悪循環です。

夫は「そんな先のことを心配しても
仕方ない」と言いますが、
私はそう簡単には割り切れません。

客観的に見れば、もっと大変な状況
の方もたくさんいると思います。
それでも、不安が消えないのです。

子どもの頃から心配性だったのは
事実です。若い頃、それで
苦悩したこともあります。

最近では、自分が本当に怖いのは
お金なのか、老いることなのか、
孤独なのか、
よく分からなくなってきました。

先のことばかり考えてしまい、
今を楽しめていない自分にも
焦りを感じます。

これから先の人生を
もう少し安心して生きるためには、
どんな考え方をしたらよいのでしょうか。

【A】ミドさん、
ご相談ありがとうございます。

住宅ローンもあと数年で完済予定。
ご夫婦ともに大きな病気もなく、
お子さんも独立されている。

客観的に見れば、老後への備え
は決して悪くない状況なのに、

「年金は足りるだろうか」
「介護が必要になったらどうしよう」
「ひとりになったら
 どう生きていけばいいのだろう」

そんな不安が次々と
湧いてきてしまうとのこと。

夜になるとスマホで老後資金や介護、
年金について調べ続け、かえって
不安が大きくなってしまう――。

同世代の方の中にも、
共感される方は
多いのではないでしょうか。

実は、不安そのものは決して
悪いものではありません。

私たちが生きていくために必要な
「備える力」でもあります。

ただ、その不安が暴走してしまうと、
まだ起きていない未来ばかりを心配し、
今この瞬間の安心や喜びを
見失ってしまうことがあります。

今回の動画では、

「備え」と「心配」の違い、
そして不確実な未来とどう付き合って
いけばよいのかについてお話ししています。

人生から不安をなくすことはできません。

けれど、不安を抱えながらも
安心して生きる力は
育てることができます。

老後への漠然とした不安に
心が占領されてしまう方は、
ぜひ参考になさってください。
 
 

続きはビデオでお話ししています……

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