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【Q】川畑先生、こんにちは。

ためになるメルマガを、
いつもありがとうございます。

自分の性格について相談させてください。

少し前に
ぎっくり腰になったことをきっかけに、

「人に頼ることができない私は、
人を信頼できない人なのかもしれない」
と考えるようになりました。

痛みで思うように動けない中でも、
「これくらいならできる」と家事を続け、
仕事も休まずに行っていました。

大学3年生の一人娘がおり、
授業のない日は家にいることも多いので、
家事や買い物などを頼むこともできたはず
なのに、気づけばいつも通り
全部一人でやっていました。

そして、そんな私を見て、娘からは
「お母さん、なんでも一人でやりすぎだよ。
もっと頼ればいいのに」と言われました。

その時は、「そんなことないよ」と
笑って返しましたが、その言葉が
なぜかずっと心に残っています。

今思い返すと、もしかしたら娘は、
そんな時くらい自分に頼って欲しかった
のかも、頼ってもらえないことを
寂しく感じたのかも、
という気もしてきました。

振り返ると、
私は昔から人に頼ることが苦手でした。

仕事でも、家のことでも、
「自分でやった方が早い」と思ってしまい、
つい何でも引き受けてしまいます。

夫はまだ働いており、
娘と3人暮らしですが、家事も
「頼むくらいなら自分でやった方が気が楽」
と思い、結局ほとんど私がやっています。

また、同じ町内で一人暮らしをしている母も
高齢になり、通院の付き添いや買い物なども、
できる限り私が動いています。

職場でも、「悪いから」「忙しそうだから」
と思うと、人にお願いすることができません。

その代わり、自分が少し無理をすればいい、
とこれまでずっと考えてきました。

でも最近、その“少しの無理”が積み重なって
きているのか、疲れが抜けづらく、
休日は何もする気が起きず、
一日寝て終わってしまうこともあります。

夫からも、
「そんなに一人で抱え込まないで、
もっと人に頼ればいいのに」と言われます。

頭ではその通りだと思います。
でも、人にお願いすることに
強い抵抗があります。

迷惑をかけるくらいなら、
自分が頑張ればいい。

そんな考えが、いつの間にか
当たり前になっていました。

一方で、「どうして私ばかりこんなに
頑張っているんだろう」と感じることもあり、
そんな自分にも嫌気が差します。

頼れないのは、
責任感が強いからなのでしょうか。

それとも、人に迷惑をかけてはいけないと
いう思い込みが強すぎるのでしょうか。

はたまた、
人を信頼していないのでしょうか。

50代も半ばになり、
このままでは心も体もこれまでのようには
続かない気がしています。

私はこれから、自分の性格と、周囲の人と、
どんなふうに関わっていけば
よいのでしょうか。

【サリー・50代・会社員】

【A】サリーさん、
いつもメルマガをお読みくださり、
ありがとうございます。

ぎっくり腰をきっかけに、
ご自身の生き方を見つめ直されたのですね。

私たちは体に不調が起きると、
「早く治さなければ」と考えがちですが、

ときに身体は、頭では気づかなかった
人生の大切な課題を
教えてくれることがあります。

私の師であるサイモントン博士は、
病気には痛みや苦しみのみならず、
恩恵といえる側面が必ずあると説きます。

もちろん、病気になってよかった
という意味ではありません。

病気が、無意識のうちに、
そしてときに否定的なかたちで、

それまで満たされてこなかった
大切なニーズを満たそうとする
はたらきがある、という見方です。

サリーさんの場合、ぎっくり腰は
「助けてもらう」「休む」「支えられる」
「人とのつながりを受け取る」という、

これまで後回しにしてきた
大切な真のニーズに
気づかせてくれたのかもしれません。

サリーさんご自身の問いに、
「私はなぜ人に頼れないのだろう」
というものがありますが、

その理由として、私たちは
「頼る」ことを「脆弱さ」や「未熟さ」
と受け止めてしまいがち
ということがあると思います。

サリーさんのように、責任感が強く、
人への配慮ができる人ほど、
この悩みを抱えやすいものです。

そして、
「自分でやった方が早い」
「迷惑をかけるくらいなら私がやればいい」
「忙しそうだから頼むべきでない」

などと、家庭でも職場でも、
そしてお母様のことも、
ご自身が中心となって
支えてこられたのではないでしょうか。

サリーさんのそのような姿勢に
助けられてきた人はたくさんいるはずですし、
そのような献身的な生き方を
否定する必要はないでしょう。

ただ、身体はアタマよりも正直で、
サリーさんもお気づきのように、

その優しさが長年積み重なるうちに、
ご自身の心と体が少しずつ疲弊してきた
可能性は否めません。

今回、身体が
「もうそろそろ荷物を下ろしてもいいよ」
と思いやりあるメッセージを携えて
やってきたように感じます。

「頼ること」は決して
「迷惑をかけること」ではありません。

ここで少し、
立場を入れ替えて考えてみてください。

もし、サリーさんにとって大切なご家族や
ご友人が、腰を痛めて思うように動けなく
なっていたら、サリーさんはどうされますか。

「代わりに買い物に行こうか?」
「何かできることある?」
「今日はゆっくり休んで」

きっと、自然にそんな思いやりある言葉を
かけるのではないでしょうか。

ところがその相手が、
「ありがとう。でも自分でやった方が早いし
迷惑をかけたくないので結構です」と言って、

痛みをこらえながら、
必死に何でも一人でやろうとしていたら、
サリーさんはどんな気持ちになるでしょう。

少し虚しい気持ちや、寂しく悲しい感情が
湧いてくるのではないでしょうか。

私たちにはみな
「相互扶助の精神」が宿っています。

困っている人がいれば「力になりたい」
「役に立ちたい」という気持ちは、
多くの人が自然に持ち備えているものです。

心理学でも、人は
「誰かの役に立てている」
「必要とされている」と感じることで、
幸福感や生きがいが高まることが
わかっています。

アドラー心理学では、
それを「共同体への貢献感」として
人の幸福の大切な要素と考えていますし、

近年の自己決定理論でも、
「誰かの役に立てた」という有能感や
人とのつながりを感じることが、
心の健康につながることが示されています。

つまり、「頼る」ことは一方的に迷惑を
かけることではないということです。

それどころか、相手に
「役に立てる喜び」や「貢献する機会」
を贈る、大切な行為でもあるのです。

娘さんが
「お母さん、もっと頼ればいいのに」
とおっしゃったのも、
「私もお母さんの力になりたい」という
気持ちが込められていたのかもしれません。

「頼られたい」「大切な人の役に立ちたい」
と願う人は、私たちが思っている以上に
多いものです。

そして、もう一つ大切な視点として、
人は、頼られたり期待されたりすることで
成長することがあります。

娘さんは、お母さんを手伝うことで
生活力が育ち、ご主人も、家庭を支える
実感を持つことができることと思います。

職場で、仕事を任されることで経験を積み、
自信を深めていくのと一緒ですね。

全部自分で抱え込むことは、一見すると
周囲への思いやりのように見えますが、

ときには相手が成長する機会や、
誰かの役に立つ喜びまで奪い取って
しまうことにもなりかねません。

これまでの人に頼らないサリーさんの
自立心あふれる信念は、
当時のご自身を守るためには
必要な知恵だったことと思います。

でもいま、その知恵の旬は過ぎて、
新たな価値観に入れ替える時期が
訪れたのかもしれません。

価値観の断捨離ですね。

もちろん、何でも人任せにしましょう
という話ではありません。

ほんの小さなことから…たとえば、

「牛乳だけお願い」
「洗濯物を取り込んでくれる?」
「今日は食器洗いをお願いできる?」

のような、小さな依頼をすることから
第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

そして、頼んだ後は100点を求めず、
「ありがとう」で終えてみてください。

頼ることが苦手な人ほど、
「やっぱり私がやった方が早かった」
と採点を始めてしまいがちです。

でも、人はそれぞれやり方が違います。

80点でもいいし、ときには60点でもいい。

そんな柔軟さもまた、
「人を信頼する」うえで
大事な学びのプロセスです。

病気は、そんなこだわりを捨てて
柔軟さを得るために、私たちの人生がかける
「強制終了ボタン」のようなもの
かもしれません。

人生は、
「いかに一人で頑張り続けられるか?」
の競争ではありません。

支える日があれば、支えられる日もある。

サリーさんはこれまで
たくさんの人を支えてこられましたので、

これからの人生では
「支える力」と同じくらい、
「支えられる力」も育ててみてください。

その循環の中で、人はつながりを感じ、
生かされ、生きる意味を育んでいくのだと
思います。

サリーさんがこれまで誰かを助けることに
喜びを感じてきたように、今度は周囲が、
サリーさんを助ける喜びを味わわせて
あげてください。

それもまた、相手への信頼であり、
思いやりなのです。

ー川畑のぶこ

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