
【Q】22歳の大学生の息子
についてご相談です。
息子は一人暮らしをしているのですが、
大家さんや周囲の方に
ゴミ捨てなどで迷惑を かけているようで、
「何度連絡しても連絡がつかず、
大変だらしなくて困っております。
こんな学生は初めてです」と、
お叱りのお電話を2回いただきました。
息子は小さい頃から非常に育てにくく、
発達障害を疑ったものの、
夫が反対するため、病院には
連れて行ったことはありません。
小学生の頃は、
プライドが高く負けず嫌いで、
背の小さい子や細い子に力で勝つために
自転車の競争をして無理に追い抜こうとして
相手を倒して怪我させたり、
下級生とサッカーをして
思い切りボールを蹴って、骨折させる
というようなことが何回もありました。
中学生の頃は、人に怪我させることは
なくなりましたが、宿題をやったことが
ほぼありま せんでした。
宿題をやらない生徒が放課後集められて、
罰として終わるまで帰れない、
ということがありましたが、
その時は先生に何も言わずに
こっそり抜け出て習い事に行ったため、
親子で呼び出されました。
子どもの前で泣きながら
先生に謝罪する姿も見せてきましたが、
不誠実な性格はそんなことでは
直らなかったようです。
同じように育てた下二人の娘は
このようなことで悩んだことは全くなく、
なんでこんなに違うのかと不思議です。
私がたまに用があって
息子に何度電話しても、出ない。
折り返しもこない。
「警察を呼ぶ」と言うと
やっと連絡がくる。
それなのに「要件だけ話して!」と
すぐに 切りたがるし、大事なことでも
じっくりと会話ができません。
妹思いの優しさもあったり、
お友達付き合いも良好のようですが、
不誠実で面倒くさがりな性格は
今後社会人になってからもかなり心配です。
何かあった度に厳しく言い聞かせて
きたつもりでしたが、
育て方が悪かったと猛省し、
途方に暮れる日々です。
息子の性格を改めさせるには
どうしたら良いのでしょうか。
【マカロン・50代・女性・パート・栃木県在住】
【A】マカロンさんの親心が伝わってきます。
幼少期から「育てにくさ」を
感じてこられたとのことで、
息子さんの特徴には、
衝動性・自己中心的行動・不注意傾向、
宿題・ルール順守の問題、
社会的なトラブルやマナー違反、
コミュニケーションの困難さ
がおありとのこと。
一方で、妹思いで
友人関係は比較的良好であり、
妹たちにはそれらの問題が
まったくないとのこと。
すると、これらは単なる「性格」や
「だらしなさ」だけでは片づけられない、
発達特性の可能性があり、
ADHDやASDなどの可能性も考えられます。
そうであれば、彼の姿勢は
決して不誠実さや面倒くさがりや
性格が悪いことに起因するものでは
ありません。
これらは、
対処能力の未発達によるもので、
息子さんの行動の多くは
「自分で自分を管理する力」
=実行機能の未発達に起因している
可能性があります。
実行機能には、ワーキングメモリという
短期記憶を保持し、情報を処理する能力、
目標達成のために計画を立て、
必要なものを整理する計画力・組織力、
状況に応じて適切な対応を判断し、
実行する問題解決能力、
衝動的な行動を抑え、
感情をコントロールする自己制御、
状況に応じて考え方や
行動を切り替える柔軟性、
時間配分を考え、計画的に行動する
時間管理能力などがありますが、
ADHDの人は
これらの能力が弱い傾向があります。
息子さんがすぐに忘れたり
後回しにしたりする、
叱られても繰り返す
(失敗からの学習が困難)など、
課題の着手が遅れたりできないのは、
何から手をつければ良いか分からないので、
先延ばしにしてしまっているかもしれません。
着信無視も、情報過多で
パンクしている可能性もあり、
外界からの刺激に対する
選択的な反応の偏りがあるかもしれません。
妹さんたちとの違いに関しても、
同じ親から生まれ、同じように育てても、
子どもはそれぞれの気質、脳の特性、
外界との交流スタイルとや
その結果生じる相互作用によって
まったく違う成長をします。
息子さんも「なぜ自分はできないのか?」
と大変つらい思いをされてきたのでは
ないでしょうか。
息子さんの行動の原因が
発達のユニークさに起因するのなら、
マカロンさんの育て方の問題でもなければ、
彼の「やる気」の問題でもありませんから、
ご自身も息子さんも責める必要はありません。
また、息子さんへの叱責は
ストレスになるばかりですので注意が必要です。
彼に必要なのは、叱責よりも
彼の困っていることに対する
専門家との連携も含めたサポートになります。
いったい彼が何に困っているのか、
どうしたらうまくできるのかを
一緒に考える関わりを、
すなわち、
「ちゃんとしなさい」のかわりに、
「なにか困っていることがあれば
いつでも言ってね」という
オープンな姿勢に切り替えてみてください。
正解と比較して裁くのではなく、
愛ある好奇心をもって
彼の個性や他者との違いに
目を向けてみてください。
また、22歳という年齢からも、
彼は親離れして自立する時期です。
彼自身が問題に直面して
それを切り開くプロセスを
マカロンさんが見守るのも
大切な姿勢となります。
本人が「困った」と感じなければ、
周囲がどんなに騒ごうが
変化への動機づけは乏しいでしょう。
実際に彼が困る思いをするタイミングで
はじめて課題に真剣に向き合うかもしれません。
息子さん自身が
発達特性を自覚することができれば
解決への道も一気に開かれます。
マカロンさんにできることのひとつは、
そのようなときのための
情報収集と情報提供です。
地域の発達障害者支援センターや、
今なら大学の学生相談室や学生支援課などへ
相談を促すことも大事です。
支援機関と連携できれば、
彼が自身の課題への対処法を学ぶ
第一歩になるでしょう。
彼自身が連絡をとらなくても、
マカロンさんが各機関に
家族として連絡をとって
話をきいてもらうことも有効です。
マカロンさんがこれまでかけてきた
思いや努力は、
決して無駄にはなっていませんし、
今から築ける関わりがありますから、
諦めずに一つずつ
積み重ねていってください。
そしてどうか、マカロンさんご自身を
労う時間を忘れないでください。
応援しています!
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