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Q:老人施設で働いています。

95歳の女性の入居者Tさんは、いつも人を観察しています。

私がいるのが分かるとそばにきて、
自分の友だちが立派なことを自慢したり、
孫自慢したり、夜眠れないなど、長々と話をしたがります。

話を聴くようにしていたのですが、とりとめのない話で、
本人が本当に話したい伝えたいことが
素直に表されなかったり、
いろいろと人のせいにしたりするため、
話すのが苦痛に重たく感じるようになりました。

最近は、周りの職員の協力もあり、
あまりTさんに関わらないように距離を置いていますが、
私を探し見つけては同じ話をしてきます。

Tさんの依存を感じてますが、
今後どのように対応したら良いでしょうか?

【さっちゃん・50代・女性・看護師】

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A:FROM 川畑のぶこ

きっとさっちゃんさんは
人が話しかけやすい優しい雰囲気を
お持ちの方であることと思います。

高齢者で家族から離れて施設に入所していると、
寂しさや孤独感に苛まれる人も多く、

そのようなときに、自分の話に耳を傾けてくれる
医療者やスタッフが施設にいることは、
入所者の方たちに安らぎをもたらすことと思います。

ただし、さっちゃんさんの仰るように、
その話しかけ方も度が過ぎると
スタッフの負担になってしまいますね。

同じことを何度も繰り返したり、自慢話をするなど、
とりとめのない話に対して苛立ちを覚えてしまうのは、
忙しい現場にいればなおさらだと思います。

では、どのように対処したらよいのでしょうか。

まず、相手のニーズは何かを整理してみます。

実は、その人は、具体的なメッセージを伝えて
対応して欲しいというよりは、
単純に関わりを持ちたいと思っている可能性が高い
ことを知っておいてください。

よって、たとえ話がとりとめなくても、
やり取りを通して関われている、
すなわちその人の存在が認められている
ということが大事になります。

さっちゃんさんとしては、
メッセージの内容をきちんと理解して
自分が具体的に何が出来るかを分析したくなるので、
とりとめもない話だと「で、私はどうすれば良いの?」
と混乱するかもしれませんが、

内容が何であれ、そして
その内容に脈絡があろうがあるまいが、
その人にとっては、向き合う相手が
熱心に耳を傾けてくれる姿勢そのものが

「受け止めてもらえた」
「私は存在して良いのだ」
という安心感をもたらし、
その感覚を切に必要としているのかも
しれないという視点を大切に関わってみてください。

自慢話も、自分の存在価値に疑いがあるので、
無意識にそれを高めようとしている可能性もあるのです。

ただし、ご本人もその真のニーズには無自覚な訳ですから、
何かと物理的に関われる理由をつけて
関係性を維持しようとしています。

さっちゃんさんができることは、
まず、相手には、自分には理解しきれていない、
孤独や寂しさを感じざるを得ない
何某かの背景があるのかもしれないという想像力と、

この人も私と一緒で自分の存在価値を確認したい、
そして不器用にそれを達成しようと必死な、
愛すべき存在なのだという、愛ある関心を寄せて
熱心に傾聴し、共感する姿勢を育んでみてください。

そのときに
「早く終わらないかな」と半分腰が引けていると、
私たちの中には罪悪感やわだかまりが生じた時に
自己嫌悪を感じるかもしれません。

その罪悪感を拭うのに
「ちゃんと付き合ってあげなければ」と強いるので
苦しくなるのです。

私の理解できない背景と、
相手は不器用でいびつではあるけれど、
その人なりに最善を尽くして生きていること。

そんな相手の存在を無条件に、完全に受け入れていれば、
そのような罪悪感や後ろめたさもないので、
話を切り上げるのも抵抗が無くなります。

「〇〇さん、そうなのですね。
 〇〇なのですね。それは〇〇でしたね。」

と、言語的にも積極的に相手を認めた上で、

「もっと〇〇さんのお話を聞きたいのですが
 他の方のお世話があるので、
 残念ですが、また聞かせてくださいね!」

などと、相手に関心があることを十全に表現した上で、
さわやかに次のモードにシフトをしてみてください。

きちんと切り上げることは、決して薄情なことではなく、
相手に悪感情を持たない自分の状態に
責任を取ることでもあるのです。

相手のケアとセルフケアは両輪の関係なのです。

互いの良好な関係を築きたいと思ったならば、
何を捨てて何を取るか、優先順位を明確に決めて
相手と関わり合うことが大切です。

相手の真のニーズをおさえることができたなら、
残りの部分は多少削られても、結果的に、
さっちゃんさんにも入所者の高齢者にも、
健全な関係性をもたらすことでしょう。
      
      
         
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