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Q.人生が全く上手くいかず、先も見えません。

親とも姉とも折り合いが悪く、家を出て25年以上、
連絡もとらず一人で生きてきました。

彼もいませんし、結婚したいと思った事もありません。

仕事は出来る方みたいで、
どの会社でも褒められていました。

でも、予算がないからとクビになり、
セクハラを相談すればこっちがクビになり。訴訟しても赤字。
そんな感じで何社も転々としてきました。

そんな中で去年、交通事故。ひき逃げされました。

加害者は捕まらず、治療費も全部自費。
後遺症が残り身体も醜くなり、辛いです。
障害者認定などは対象外でした。

そしてコロナで失業。
怪我のハンデもあって次の仕事は見つからず。
スポーツが趣味でしたが、
それも怪我で出来なくなりました。

何か別の趣味でも見つけられないかと、
手芸や本、映画などいろいろしてみましたが
すぐ飽きてしまいました。

痛みもあって集中できず、
何が楽しいのか・・・と冷めていくだけでした。

私の人生なんだったんだろう。
何が悪かったんだろう。

このまま何の役にも立てず、死を待つしかないのか。
医療費もかかり、貯金もそろそろつきます。
行政に何度も相談もしましたが追い返されました。

毎日泣いています。
でも、部屋だけはキレイにしないと落ち着かなくて
痛みを堪えながら掃除してます。

部屋の掃除しない人が仕事で活躍して、
家庭を持っているのに。

私は何もできず残せず、なんてみじめなんだろう。
そんな思いも消えません。

何かお言葉があったら、どうかよろしくお願いします。

【こまき・40代・女性・無職】

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A:FROM 川畑のぶこ

家族関係、異性関係、仕事の問題、
事件と事故による後遺症と経済的問題…

さまざまな苦労を経て、
人生に失望されているのですね。

こまきさんの体験を想うと、
ご自身が私の人生いったい何なんだろうと思う気持ちが
分かりますし、そのような状況をなんとかここまで
よく乗り越えてこられていると思います。

ただ、ここでこまきさんに忘れてほしくないのは、
そのような経験を経ているこまきさんだからこそ、
ご自身が意図しないところで多くの人に
勇気や希望を与える存在にもなり得るということです。

こまきさんは、
「自分は人の役に立たない」とおっしゃっていますが、
経済的、または物質的な生産性を高めることだけが
人生や人の価値ではありません。

ここを履き違えてしまうと、
病気や怪我や事故に遭遇したとき
(そして人生でこれらは誰にでも起こりうるものです)
人生は苦難に満ちたものになってしまいます。

こまきさんにとって「人生がうまくいく」とは
何を意味するのでしょうか?

それは「人生が思い通りにいく」ことを意味していますか?

そうであれば、残念ながら
人生がうまくいくことは諦めたほうがよさそうです。

なぜなら、人生とはままならないことだらけで、
それをいかに受容し、しなやかに対処していくかが
問われるものだからです。

親も姉妹も、彼も夫も、仕事も職場の人間関係も、
赤の他人も、すべて思い通りにはならない、
ということを信頼してください。

なにせ、自分自身ですら思い通りにならないですからね。

問題を探して排除することが大事なときもありますが、
人生のすべての問題は排除できません。

完璧にチャレンジすることはできても、
常に完璧でいることは不可能です。

相手も、自分も、です。

みんな、不器用で、いびつで、弱い部分を持ち備えた、
それでも自分なりの限界の中で、最善を尽くして、
愛や平和を実現したい(あるいは取り戻したい)
という動機から生きる、愛すべき存在です。

完璧を求めると、どうしてもジャッジ(裁き)が
はじまってしまいます。

人生に良いことや好ましいこともたくさん起きているのに、
それは棚上げして、ネガティブな面ばかりに
目がいってしまいがちです。

こまきさんには、自分に起こっていることを受け入れ、
自分の存在を許し、ジャッジを愛ある好奇心へ変える実践を
ぜひしていただきたいです。

大変なこともたくさん起こるけれど、身の回りで起きている、
好ましいことや讃えるべきことは何だろう、
この苦労から学べることは何だろうと、
苦労に意味を見出す努力をしていただきたいと思いました。

苦労を受け入れ、乗り越え、前進している人が
この世の中に存在するだけで、
それは多くの人に多大なエネルギーを与えているのです。

お金は生産しないかもしれない、物も生産しないかもしれない。
でも、勇気や感動を与えることができます。

痛みを体験した人は、
人の痛みを理解することができるようになります。

真に相手に対して思いやりを持って生きることが
できるようになります。

この思いやりや優しさは
人生でもっとも価値有るものではないでしょうか。

こまきさんが自分自身に起きていることや
自分の存在を否定している限り、
相手や世間にも厳しくなるでしょう。

そこに調和や愛は存在しにくくなります。

まずご自身を受け入れる優しさから始めてください。

こまきさんは読書も飽きてしまったとのことですが、
ぜひ読んでただきたい本があります。

私の好きな心理学者で精神医学者の
ヴィクトール・フランクルの著書です。

フランクルはナチスのホロコーストにより
結婚後9ヶ月で強制収容所に収容され、3年間を過ごします。

その間、父と母と妻は収容所で死亡します。

収容所の中では、明日は殺されると
己のみに起こることを案じる者もいれば、
明日は収容所を出られるかもしれないと
希望を持つ者もいたといいます。

美しい夕日にうっとりしたり、小さな祈りを捧げたり、
パンの一切れを分け与える者もいたとのこと。

フランクルは、苦難の中にも
人生に意味を見出す力こそが
人生を切り開く原動力になるという立場から
「ロゴセラピー」という心理療法を確立します。

フランクルの著書には素晴らしいものが多くありますが、
「それでも人生にイエスという」という本は読みやすく、
こまきさんにもおすすめですので、ぜひご一読ください。

最後に、フランクルのいくつかの言葉を
こまきさんへのエールとして贈ります。

「あらゆるものを奪われた人間に残されたたった一つのもの。
それは、与えられた運命に対して、
自分の態度を選ぶ自由であり、
自分のあり方を決める自由である」

「たとえあなたが人生に絶望しようとも、
人生があなたに絶望することはない。
何かや誰かのためにできることがきっとある」

  
  
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