親子関係

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【Q】同居している義母についてのご相談です。

現在義母、主人、娘二人の5人で暮らしております。

わたしは少しでもモノを減らして
暮らしやすいようにしたいと思っておりますが、
84歳の義母はモノを溜め込み
『処分する』『減らす』ということに
抵抗を感じるようで
空間を作ることができません。

3月に義父が亡くなりましたが、
その直前いよいよ危ない、という時に
わたしは意を決して義母に
『片付けなきゃならないよ、
手伝うから一緒にやろう』と言って

主人と3人で一日で義母の部屋を片付けました
(いずれは仏壇を置かなければなりません)。
ゴミ袋20袋にも及びました。

すると病院から電話がきて、
あれよあれよという間に義父は亡くなりました。
間一髪でした。
義母はわたしに感謝してくれました。

スッキリした気持ち良さをわかってもらえたかと思い、
先日、リビングの二段になっている棚の上段部分を
主人が撤去しました。
窓を開閉するのに弊害があったためです。

すると『こうやって私の居場所がなくなって
いくんだな!』と義母が言いました。
わたしは驚きと共に、悲しくなりました。

連れを亡くしたばかりで淋しいのかも知れませんが、
私からすれば、25年前モノに占領された家に
嫁いだ私は、当時から居場所がなかった…
そう言いたいです。

どうしたら義母に抵抗なくモノを
処分してもらえますでしょうか。
苦痛な日々です。

【シャクヤク・50代・女性・会社員・宮城県】

【A】自分以外の人間のモノがひしめく空間に住む
というのは息苦しくストレスフルな経験ですよね。

シャクヤクさんがお義母さんと同居されて
25年にわたり忍耐と努力されてきたことが
ひしひしと伝わります。

お義父さんがご逝去され、お義母さんが
住まいの整理をするにはよいタイミングが
訪れていることと思います。

シャクヤクさんもお義母さんや家族が
健やかに暮らしてほしい思いから
モノを減らす提案をされているのですよね。

ただし、お義母さんの態度にも現れているように、
今は喪失後のとてもセンシティブな時期でもあります。

モノはその人の心がこもりやすく、ときに
自分のアイデンティティーという感覚も伴います。

ですので、このような時期はなおさら、
自分のアイデンティティーや夫の生きた証
を喪失してしまうようで不安も強まるため、

存在価値を否定されているかのように感じて
しまうので反発心も湧いてしまうのです。

まず、お義母さんにとって、それらのモノは
心の拠り所であることを理解してあげること
からスタートしてみてください。

そこが理解されていないと感じると、
空間はすっきりしても、人間関係まで
寒々しいものになってしまいます。

また、高齢になればなるほど、
新しい変化に適応するのは困難になります。
シャクヤクさんが想像する以上に
お義母さんにとって新たな変化は
精神的な負担がかかることも
覚えておいてください。

では、どうすればお義母さんの心を傷つけずに
片づけが進められるのかといえば、
まずコミュニケーションを
少し工夫してみてください。

お義母さんのモノへの気持ちを受け止め、
寄り添ってあげてください。

共感や理解なしに信頼関係を築くのは難しいです。

「お義父さんがいなくて寂しいですよね。
私も寂しいです。心にぽっかり穴が空いた
ような気がしちゃいますよね」などの
言葉かけをして寂しさに共感を示してください。

そして、断捨離を進めるときは、
「捨てる」ことにフォーカスを当てるのではなく
「大切なものを選びぬく」ことを強調し、

そのことでお義母さんにとって
大切なものを守るためなのだという
アプローチに変えてみてください。

捨てることで自分の存在価値を否定されるという
イメージを、自分が選びぬかれ大切に扱われる
イメージに変化させます。

お義母さんが安心して気持ちよくまた健康的に
暮らせるために、大切なものを選び抜いて、
きちんとそれらが生きるようモノの居場所を
つくりましょうと提案してみてください。

これはお義父さんの思い出のものも、
それらをきちんと大切にできるように整理する
ことをもちかけてみるのも良いでしょう。

このことでお義母さんの防衛的な姿勢が
緩和される可能性があります。

また、一気に行うのではなく、
スモールステップで徐々に慣らして
いくことも大切です。

手を付ける場所をいくつか区切り、
範囲を限定して、お義母さんに
いちばんどこが気になるか選んでもらい、

「一緒に手伝うのでそこから始めてみましょうか?」
と尋ねてみると良いでしょう。

そのことで、周囲からやらされている感が減り、
お義母さん自らの選択で行動した感覚が
芽生えることでしょう。

どうしたら家族全体の調和がとれるかを考え、
ご主人とも協力しながら
丁寧に取り組んでみてください。

お義母さんが大切だからこそ、
健康や清々しい人生のお手伝いをしたいという
気持ちが伝わるように寄り添ってみてください。
       
        
ーーー
   

 
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0602(大)

FROM 川畑のぶこ

甘夏さん(50代・女性・パート・千葉県)
のご相談にお答えします。

【Q】86歳の義理の父のことです。
隣県に住む義父は、これまで車で
どこへでも出かける生活をしてきました。

年齢のわりに健康で、
本人も「まだまだ運転できる」と
自信を持っています。

確かに、若いころから
車が生活の一部だった義父にとっては、
車は自分の手足であり、自由であり、
自立の象徴なのだと思います。

3年前に最愛の妻に先立たれてからは
なおさら、買い物や身の回りのことは
全て自分でやる必要もあり、
車があるとないとでは大きく違うという
ことも客観的に見ていて、理解はできます。

ただ、ここ1年ほどの間に、
車庫入れを大きく失敗したり、
車を壁にぶつけたりというようなことが
何度か起きています。

私の夫やその兄弟が
「そろそろ返納も考えたら?」と
やんわりと勧めてみるものの、
本人は全く聞く耳を持ちません。

これまでの小さな事故では
幸い大事には至っていませんが、
これがいつ他人を巻き込むような
事故になるかと思うと、
家族としてはとても不安です。

とは言っても、
離れて住む子どもたちが必要な時に
いつでもサポートができるかと言えば、
そうではないので、免許返納を勧める
にも説得力があまりありません。

義父の住まいは決して田舎ではなく、
車で10〜15分も走れば駅やスーパー、
病院などが揃っています。
不便さを感じるほどではありません。

病院通いも今のところ月に2回ほどですし、
外出や買い物にはタクシーを使えば
十分対応できるのではと、
家族の間では話しています。

それでも本人は、
「車を手放したら外に出る気力もなくなる」
「人生が変わってしまう」
と強く反発します。
その気持ちも理解はできます。

でも、安全と向き合う必要がある年齢
なのも事実。

義父の尊厳を守りながら、どうすれば
納得して免許返納を考えてもらえるのか。
家族として悩む日々が続いています。

どんなアプローチがあるでしょうか?

【A】甘夏さんの切実なお悩みですね。
私も高齢の親がいますので
お気持ちよくわかります。

私の親は南の離島に住んでいますが、
バス停まで歩いて15分はかかりますし、
真夏の炎天下でも日陰がない、
なんていうことになると
「車を使うのも仕方ないよね」
と思ってしまいます。

甘夏さんのお義父様と同じように
行動的な親なので、
車を奪ってしまったら
「No Car, No Life」という状態に
なってしまいそうで、

兄弟の間では、そろそろ返納した
ほうがいいよ、と話すものの、
「あと1年」「来年ね」と先延ばしに
なってしまっています。

甘夏さんのお義父様については、
まず、交通事故の発生率や件数などの
データは冷静に見ること、

そして、何よりお義父様の人生の質、
QOLを大切に考えること、
この2つを意識して向き合って
いただきたいなと思います。

続きは、ビデオでお話しします……

ーーー

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Q:わたくしの心の持ちようについての
ご相談です。

54歳になる長男は知的障害と統合失調症で
ここ20年間は諦めと憐憫(れんびん)で接して
やや顔色をうかがいながら過ごしてきました。

しかし私も75歳になって
いまさらミーファーストをもちだすのも
恥ずかしいのですが、
それを阻む目の前のたんこぶに苛立ち、
声を荒げて、自分でも意味不明な悪態を
ついてしまうことがふえてきました。
 
自己嫌悪におちいって
後であやまるのですが、
私はどうすればいいでしょうか。
    
幼少時から希死念慮があるので、
思わず口にだして
息子をおびえさせてしまいます。

自分の死期が決まっているのであれば
それまでの辛抱だと、
でもそれだとお互いの人生の質が傷だらけ。

何とかしておおらかになりたいのですが、
助けてください。

宜しくお願い致します。

【スキーマこころ・70代・女性・無職・神奈川県】
     
      
―――――――――――――――――   
   
   
A:FROM 川畑のぶこ
         
ご相談いただき、ありがとうございます。

スキーマこころさんの
心の悲痛な叫びが伝わってきます。

20年という年月を、愛情と忍耐と葛藤の中で
過ごしてこられたのでしょうね。

その重みは、
想像をはるかに超えるものと思います。

ここまでご自身のことを後回しにして、
息子さんのために
本当によく頑張ってこられましたね。

まず、
スキーマこころさんにお伝えしたいのは、
「ミーファースト」を恥じるどころか、
むしろ今こそご自身のケアを
大切にしてほしいということです。

自分自身を大切にするのに、
年齢や立場など関係ありません。
70代だからこそ、
自分の人生の舵取りについて
真剣に見つめなおすこともできますし、
何かをはじめるのに遅すぎるということなど
決してありません。

良いサポーターであるためにも、
まずサポーター自身のエネルギーが
充電されていることは重要なことです。

スキーマこころさんが自分のもてなし方が
わからないとおっしゃるなら
(自己犠牲を払って生きてきた人は
ときとして何に喜びを感じるのか
わからないことがあります)

まずは愛ある好奇心を持って、
「私の人生は私を満たすことを
 きちんと準備している」ことを信じて、
スキーマこころさんにとっての
よろこびや安らぎに
まずアンテナを立ててみてください。

苛立ちや悪態が出るのは
スキーマこころさんの
限界のサインでもあります。

思わず声を荒げてしまう、
心にもない言葉が出てしまうのは、
決して弱さのせいではなく、
限界を無視された心身の悲痛な訴えであり、
助けを必要としている証拠です。

ですので、ご自身を責めないで
優しくなってあげてください。

おおらかさとは、
怒らない人間になることではありません。

むしろ、怒る自分も、弱い自分も、
素直に認めて受け入れられるように
なることです。

今は自己嫌悪や厳しさで
自分に向き合うのではなく、
ご自身にも傷があることを認めて、
ご自身を包みこんであげてください。

幼少期から希死念慮がおありとのことで、
生きることに対して、どこかで辛さや
孤独感を抱えていらしたのでしょうね。

その分、その辛さもわかるので、
息子さんや相手にも忍耐強く
向き合うちからをお持ちなのでしょう。

以下はスキーマこころさんに
取り組んでいただきたいことです:

●自分自身の時間をつくる

いきなり1週間の旅行などは難しくても、
毎日10分程度でかまいませんので、
自分のためだけの時間を確保して
ご自身をもてなしてください。

●ご自身の限界を尊重し、助けを求める

家族だから、親だからといって、
すべてを背負わなくてもよいと
ご自身に許可を与えてください。
サポーターにもサポートは必要です。
助けてもらうことは
決して恥ではありません。

地域包括支援センター(横浜市にもあります)
などに相談すると、介護者支援や
精神障害者の家族のサポートなど、
つながりが得られることもあります。

●シェアする機会をもつ

ご自身の悩みを吐露したり
同じ悩みを抱えている人と気持ちを
分かち合う時間をつくってください。

サポートグループに
参加するのも良いでしょう。

「一人ではない」という、
つながりの感覚や互いを支え合う
エネルギーに満たされた場は
癒しをもたらしてくれます。

ご自身のケアは、結果的に
スキーマこころさんの周囲の人々にも
癒しをもたらすことを忘れないでください。

       
        
ーーー
   
 
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0519(大)

FROM 川畑のぶこ

ばばちゃんさん(60代・主婦・静岡県)
のご相談にお答えします。

【Q】67歳の主婦です。
夫に先立たれて10年、
今は一人暮らしをしています。

一人息子は40歳で、3年前に結婚し、
現在は2歳になる娘(私の初孫)と共に、
車で30分ほどのところに住んでいます。

お嫁さんはしっかりした方で、
正社員で仕事をしながら、
家のことも育児も
テキパキこなしていて、

息子も仕事が忙しい中でも
二人でよくやっているようです。

ただ、私の中で、最近
少し寂しさを感じるようになりました。

孫が生まれた当初は
何かと声をかけてくれたり、
頼ってくれたりしたのですが、
最近はあまり連絡が来なくなりました。

私の方から声をかけると、
「ありがとうございます、でも大丈夫です」
と丁寧に断られてしまうことが多く、
遠慮されているような気がします。

もちろん、嫁の立場もあるし、
私が口出ししすぎると重たく感じる
のも分かっています。

ただ、決して干渉したいのではなく、
もっと自然に、気軽に声をかけて
くれたら嬉しいのです。

体力のあるうちは、買い物でも、
急な保育園のお迎えでも、
できることは協力したいと思っています。

本音を言えば、
もっと孫の成長を近くで見守りたいし、
抱っこもしたい。それだけなんです。

でも、こちらから
「もっと会いたい」と言うのも、
負担になるのではと考えてしまって
言えません。

息子たちが気軽に
「お母さん、ちょっと来てくれない?」
と言ってくれる日が、
また来るといいなと思いながら、
日々過ごしています。

嫁や息子の負担にならず、
かつ私自身も満足できるような
声かけや行動のポイントがあれば、
ぜひ教えてください。

よろしくお願いします。

【A】お嫁さんの負担にならないように、
疎ましく思われないように、
プレッシャーをかけずに力になりたい…

そんなばばちゃんの謙虚な姿勢、
お姑さんの鏡ですね!

ここまで気配りのあるお姑さんですから、
お嫁さんはきっと
疎ましく思うというよりは、
あまり頼みすぎてしまってはいけない、
と遠慮しているのではないでしょうか。

ですから、「遠慮しないでほしい」という
ことが伝わるコミュニケーションが
大事になってくると思います。
また、ばばちゃんが、お孫さんと
一緒にいるときがどれほど幸せなのか
ということを伝えるのは効果的ですよ。

続きは、ビデオでお話しします……

ーーー

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Q:初めまして。

最近感じる自分の中の感情について、
適切な対処法をご教示いただきたく
相談させていただきます。

私51歳、夫55歳、娘23歳、息子21歳で、
結婚26年目です。

昨年、夫の20年近い不倫が発覚し、
別居を始めて1年になります。

今回の件で夫への信頼は無くなり、
夫に対して許容出来ていた事全てが
許容出来なくなりました。

相談内容というのは、
そういった夫への感情を
娘にも向けてしまう事です。

娘は夫と思考が似ており、
笑いのツボも同じで、
とても馬が合うようです。

そういった事から、
私が嫌だと思う夫の思考や行動を
娘が行う事で、娘を受け入れたくないと
思ってしまいます。

例えば、娘には永くお付き合いしている
彼がいるのですが、
常に彼より勝る人を探しています。

彼はとても娘を大事にしてくれているのに、
トキメキが無いと言い、
良い人が見つかれば乗り換えると言います。

私はこのような不誠実な娘に
夫の裏切りと同じ感情を抱き、
腹立たしさを感じます。

お金の使い方についても、
損得勘定が根付いており、
お金に貪欲な所が夫と重なり
不快感を感じてしまいます。

また2人はとても仲が良く、
2人で温泉や海外旅行に行ったり、
夫は娘の送迎も頻繁にしています。

不倫発覚の際、私は1人で抱える事ができず、
娘に打ち明け今後について相談しましたが、
娘は
「パパが悪い。でも私はパパと似ているから
 理解できるし気持ちもわかる。」
と言いました。

私達夫婦がどのような関係になろうと、
親子関係は良好であってほしいと
願っていますが、私の娘に対する感情は、
裏切った夫と重ねて
敵認定しているように感じます。

また、私の味方になってくれないという
寂しさも感じているように思います。

このような感情と、
今後どのように向き合い、
対応していけば良いでしょうか。

アドバイスよろしくお願いいたします。

【ちひろ・50代・女性・会社員・兵庫県】
     
      
―――――――――――――――――   
   
   
A:FROM 川畑のぶこ
         
信頼していた夫が
20年近くの不倫をしていたと知ったときの
ちひろさんの衝撃と深い心の痛みは
決して言葉で表せるものではないと思います。


そんなお気持ちを丁寧に説明してくださり
ありがとうございます。

夫との信頼が崩壊して別居を決意され、
心のクールダウンを図っているところに、
こんどはそこから派生する
娘さんとの関係の揺らぎを
感じていらっしゃるのですね。

長年連れ添った大切なパートナーの
裏切りを思えば、ちひろさんが周囲に対して
疑心暗鬼になってしまうことは
自然な感情だと思います。

このような裏切りが残した心の深い傷は、
その再発を防ぐために
過剰に反応してしまうこともあります。

これはちひろさんの中に宿る
自然な防衛反応でもあります。

心理学ではこのような現象を
「転移」と呼びます。

転移とは、
もともとフロイトが提唱した概念で、
「過去に重要な人物に対して抱いていた
 感情や期待を、今目の前にいる別の人に
 無意識のうちに向けてしまう現象」
のことです。

たとえば、子どもの頃に
厳しい母親に認めてもらえなかった人が、
大人になって上司や恋人に対して
「もっと認めてくれない」
「評価してくれない」
と感じやすくなるとか、
過去に裏切られた経験があると、
別の人のちょっとした行動でも
「また裏切られるのでは」
と不安になってしまうといったものです。

こうした感情は、
今の相手に対して起こっているようでいて、
実際は「過去の誰か」に感じていたものの
再現です。

転移は感情の過去の心の傷や愛着の記憶に
根ざしたもので、それらを心の奥底に保存し、
それが似たような状況や、
似た雰囲気を持つ人に出会ったときに
無意識に呼び起こすもので、
意識的に行われるものではありません。

ちひろさんが夫から受けた長年の裏切り
(=深い傷・怒り・失望)が、
似た価値観や言動を持つ娘さんに
向かってしまうというのは、
典型的な転移のひとつで、
本来は夫に向けるべき怒りや悲しみが、
似た反応を見せている娘さんに
すり替わって表れています。さ

らに、味方になってほしかったのに
中立的だった娘さんへの
怒りや寂しさや孤独感が、
「私を裏切った」夫の姿と重なって
見えてしまっているのかもしれません。

転移への対処法として、まず、
これは娘に対する感情なのか、
それとも夫への感情がすり替わっているのか?
と、いったん立ち止まって考えてみることです。

決して感情を否定するのではなく、
その感情に気づいて、受け止めてあげます。

感情に名前をつけて言語化することを
ラベリングといいますが、たとえば、
「私は怒っている」とラベリングすることで、
脳の感情を司る部分である
扁桃体が落ち着くという研究もあります。

ちひろさんも娘さんに対して
怒りや寂しさや孤独をかんじたときは、
まずそれをラベリングしてみてください。

また、それがどこから来ているのかも
言語化してみます。

「ああ、私は夫に裏切られたことで
 また同じことが起きると思っているのだな」
と。

このようにちひろさんご自身の感情を
言語化して客観視するだけでも、
感情に飲み込まれるのを防げます。

言語化ということでは、
出てきた思いをメモしたり
日記をつけたりするのも有効です。

感情が大きく揺れるときは、
思考も過去や未来へ暴走しがちですが、
そんなときは心を今・ここに戻す
マインドフルネスの実践がとても有効です。

まず呼吸に丁寧に注意を向けて、
吸う息とともに、
今吸っていることに気づき、
吐く息とともに、
今吐いていることに気づきます。

これを数回行うだけでも
ぐんと心が落ち着きます。

そして、今身のまわりに起こっていることに
丁寧に注意を向けていきます。

座っているなら椅子の硬さ・柔らかさ、
体重が支えられている感覚、
部屋の温度の感じ、
お茶を飲んでいるなら
そのカップの感触や温度、
目に入るカップのデザインやお茶の色、
香りやカップを上げ下げするときの音、
唇に触れる感触、すする音、
お茶の味、喉越しなど。


このように五感を研ぎ澄まし
注意を今に戻すことで感情の高ぶりを
落ち着かせることができます。

感情が高ぶっている時は、
このように「反応」せずに「対応」をします。

このことで、夫への怒りと娘への感情が
区別されます。

そして、本当は私は
娘とどうありたいのだろう?
というご自身の素直な気持ちにも
意識を向けて、
その気持ちを大切にしてください。

おそらく、ちひろさんは
娘さんと良好な関係を持ちたいからこそ
裏切られた感じがするのではないでしょうか。

「味方になってほしかった」
「もっと私の気持ちを理解してほしい」
という期待が裏切られると怒りが生まれます。

ですが、人間関係はさまざまな価値観のもと、
ときに分かり合えないことを前提にした
付き合い方が必要になることもあります。

娘さんと夫も、
似ている部分はあると思いますが、
人格も人生もまったく別の存在です。

夫の行為にはちひろさんへの
裏切りがあるでしょうが、
娘さんは母親を裏切ろうとしているわけでは
ありません。

さらに、娘さんの恋愛への姿勢が
必ずしも不誠実とはかぎりません。

もしかしたら、不誠実にならないように、
まだ大きな決定(=婚約や結婚)はせず、
自由恋愛であるがゆえに、
そのあいだに様子をきちんと見て、
悔いのないように相手を選ぼうと
思っているのかもしれません。

そうであれば、それはむしろ誠実な姿勢とも
いえるのではないでしょうか?

自分の気持ちを抑圧して
「長く付き合っているから」
という惰性で、質より量のみを重視して
結婚したなら、後からその抑圧が爆発して、
あのとき心の声に忠実に
生きていればよかったと後悔し、
関係が破綻する可能性もあるわけです。

自分の自然なニーズを確認し、
忠実になり、同時に法を守りながら、
娘さんなりの責任感で
慎重に行動しているのかもしれません。

娘さんは父親の行動に対して非を認めつつも
その動機を理解できると
理解を示したにすぎません。

私たちが相手を思いやるときは
行動を許せなくても、
動機の理解が必要ですし、
それがなければ人間関係に
調和は生まれません。

自分の価値と同じなら味方、
そうでなければ敵という二分法で
判断するのではなく、大切な母と父の関係の中に
徒(いたずら)に巻き込まれてもがく子、
と理解することもできます。

家庭内のいびつなバランスの中で
娘さんなりに必死にサバイブしようと
しているのかもしれませんね。

このように、娘さんも父や母と一緒で、
まだ未熟だけど、失敗も含めて
自分の人生を選びながら
さまざまな経験をして生きているのでしょう。

そのことを信頼できるようになるためにも、
まずちひろさんご自身が、
ままならぬ人生に起きていることから
学び取り、それをバネに前進できる自分なのだ
という自信を身に着けていくことは
大きな課題となってくると思います 。


周囲からの承認によってではなく、
まず私にもっとも近い私自身が私を理解し、
認め、味方でいようという姿勢を
育んでみてください。

他人の承認を自分の安定の軸に
しすぎないことは、自分を守ることにも
つながります。

今、娘さんとの関係に悩む背景には、
ちひろさんの心がまだ大きく傷ついていて
癒えていないという事実があります。

ちひろさんが本当に
娘さんと良い関係を築きたいと願うからこそ、
今の感情を整理しようとしている姿は、
深い愛情の証でもあります。


そのことを認め、まずはご自身のケアを
大切にされてください。

裏切りによって損なわれた
「自尊心」「信頼」「安心感」は、
時間と丁寧な自己対話によって
回復できるでしょうし、そのことは
娘さんとの平穏な関係性にも
つながることでしょう。
       
        
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Q:いつも楽しみにしています
娘との関係で悩んでいます。

娘は職場でのパワハラがきっかけで
双極性障害になってしまいました。
   
小さい頃からあまり
私に反抗もしなかったのですが
夫婦仲が悪く喧嘩が多かったこと、
威圧感のある私の接し方、
それもストレスになっていたようです。

今でも精神的に不安定で
子供を産んで酷くなりました。
   
 
先日、娘と孫、私で旅行に行ったのですが
その時に私が孫をベッドに寝かせていて
落ちてしまい、
 
娘が尋常じゃなく興奮してしまい、
なだめようとした言葉で
更に激怒させてしまいました。
 
 
今までも何回も娘を怒らせていることもあり、
次の日、当分実家には行かないから
置いてある服や孫のモノを返すようにと
LINEがありました。
   
 
何回も謝りましたが、
反省の色が無い、謝っても許せない
というLINEがきました。 
     
 
孫に会いたい気持ちと、
また娘を怒らせて
症状を悪化させてしまうかもしれないから
会わない方がいいんだという気持ちで
ごちゃごちゃになっています。
  
 
今は、なんであんな事をしてしまったのか
という後悔でいっぱいです。
   
 
初孫なので会えないのは本当に寂しいです。
  
 
これからどうしていけばいいのか、
会えないならどういう心持ちで居れば良いのか、
アドバイスお願いします。
  
  
【あーちゃん・50代・女性・自営業・愛知県】
   
    
―――――――――――――――――   
   
 
A:FROM 川畑のぶこ
      
娘さんのメンタル面の心配、
あーちゃんご自身の昔の態度に対する後悔や、
お孫さんに会えない寂しさや悲しみなど、
複雑な感情が入り交じる中で、
  
あーちゃんなりにそれぞれのことに
丁寧に向き合おうとしている姿勢が伺えます。
   
 
これは、優しさや深い愛情なしには
起きえないものだと思います。
  
 
人生というのはままならないものです。
   
 
ただし、すべての出来事のタイミングには
学びの機会が潜んでいることも
忘れないでいただきたいです。
  
 
まず、娘さんが
当分実家にいかないと言っているのなら、
いまはその気持を尊重して、
しばらくは静かに見守ってあげてください。
    
 
双極性障害は
躁状態とうつ状態を繰り返すという
症状がありますが、
   
躁状態のときには興奮しやすくなり、
普段より口調が鋭くなって、
相手の意見に対して強く反論したり
無意識に批判的な発言をしたり
することがあります。
  
 
また、尊大な態度や高圧的な態度を取って
相手を激しく罵倒し
傷つけてしまうこともあります。
   
 
さらに、娘さんが出産後で
実家に里帰りをしていたのであれば、
   
出産後はホルモンバランスが
著しく乱れますから、
より精神的に不安定になりやすい状況ですし、
  
本人もおかしいと感じていても
コントロールが効かない状態かもしれません。
   
 
私自身、
息子の出産時にお世話になった産院は、
日本でも屈指の名医が揃う産院でしたが、
   
そこの副看護師長ですらご自身の出産の際、
とくにそれまで健康状態に問題もなく、
   
プロなので産後の子育てには
自信があったのに、育児ノイローゼになり
周囲に助けてもらわざるを得なかったと
おっしゃっていました。
   
 
ホルモンは侮れません。
   
 
このように、
病理が彼女を駆り立てている状態では、
相手があーちゃん以外の誰であっても、
何をしても、どんなに謝っても、
  
娘さんの心が落ち着くことは
ないかもしれませんし、
   
あーちゃんがその時点でのできる限りを
尽くしたのであれば、あとは、
静かに嵐が去るのを待つのみです。
   
 
失敗を反省しつつも、
過度に落ち込みすぎないことです。
   
 
また、双極性障害の病因には
遺伝や性格や環境要因が考えられますが、
   
長年自分の感情を抑圧して
ストレスが発散できないことも
一因と言われています。
   
 
娘さんは小さい頃は反抗せず、
その要因に親の夫婦喧嘩や
母親の高圧的な態度があるとのことなので、
    
娘さんなりに、母親の機嫌をとるのに
かなり我慢を強いられてきたことが
考えられます。

 
そうであれば、お母さんを好きだからこそ、
どこかで恨みの気持ちを抱くのも
自然かもしれません。
  
 
ただ、その恨みは裏を返せば、
もっと私を大切にしてほしかった、
愛してほしかった、
という現れであり訴えでもあるのです。
   
 
ここであーちゃんが
娘さんのいうことを受け入れず、
   
「謝っているのだから許して
 孫に会わせてほしい。でないと寂しい。」
というような態度を取ると、
    
娘さんの目には、
母親が私の気持ちは無視して
自分の欲求を満たすことばかり考えている
身勝手な人、と映ってしまい
辟易してしまいます。
   
 
大切なのは、孫の前に
何より娘さんのことを思いやる姿勢です。
   
 
ここは娘さんの気持ちを尊重して
当分は静かに見守ってあげてください。
  
 
彼女も二度と実家には行かないとは
言っておらず、
「当分は」行かないと言っているのですから、
  
ほとぼりが冷めたら変わる可能性は
十分にあるわけです。
   
 
娘さんは一時的に距離を取ることで、
自分の心を守っているのですから、
そこにズカズカと踏み入れないことです。
   
 
また、いまは躁状態かもしれませんが、
抑うつ状態になったときに
母親(祖母)の助けを必要とすることが
出てくるかもしれません。
   
 
それまでにできることとしては、
心からの詫びを伝え、娘さんが調子よく
幸せでいてくれることが大事で、
    
そのためのできる限りのサポートはするので、
助けが必要になったらいつでも言ってくれと、
あくまでも娘さんのニーズを優先する姿勢を
育みオープンでいることです。
   
 
近くでサポートができないのなら、
小包とともに心のこもった手紙を
送るのもよいでしょう。
   
 
小包は、ついお孫さんのものばかり
送りがちですが、
娘さんを労(ねぎら)うものも入れて
送ってみてください。
  
 
彼女の好きな食べ物や、
育児疲れを労うグッズを入れ
「育児大変だと思うけど、たまには休んでね」
と一言添えるのもよいかもしれません。
   
  
「孫に会いたい!」のまえに
「あなたが何より大事!」という
娘さんをケアする姿勢で接するように
心がけてください。
  
 
娘さんのケアは自ずと
孫のケアにつながるのですから。
   
  
無私の精神でお孫さんと娘さんにとって
真に必要で大切なことを
提供してあげてください。
   
 
娘さんが、
母親は自分のニーズの充足よりも、
私と子どものニーズの充足と幸せに
関心があるのだと
心の底から感じられるようになれば、
関係性は自然と改善していくことでしょう。
    
  
同時に、あーちゃんご自身は、
お孫さん以外でも自己充足できる場を
拡充するよう努めてみてください。
    
 
応援しています!
  
        
ーーー
 
 
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shutterstock_160134842

Q:はじめまして。
近くに住む70代の義母との関係について
アドバイス頂きたくメールしました。

昨年義父が亡くなり義母は一人暮らしです。

まだ義理の父が入院していた頃、
それまでも一部生活費を負担していましたが、
生活費を援助してほしいと言われました。

その場には私たち夫婦と義弟がいましたが、
その時の義母とのやり取りに
怒りと悲しみを感じました。

また私たちの同意を得ないまま
義弟が勝手に援助の金額を決めました。

その後すぐに義父が亡くなり、
葬式の場で夫は義母に
「弟はお金を援助してくれたのに
 あんたは何もしてくれない」
と言われたそうです。

義弟から援助について報告はなかったです。

葬式代は夫が負担し、その後は可能な範囲で
義母に生活費を渡しています。

この一連の出来事で感じた
怒りや悲しみの感情が
しこりのように残っています。

また義実家はモノで溢れており、
義母は掃除が好きではないので
私の感覚からすると汚部屋状態です。

義実家に行く度に
家の状態を見て悲しくなります。

見かねて台所の掃除をしたことも
ありましたが、
義母は汚れていても気にしないようです。

家の片づけもいずれ
やらなければならない日が来るので、
今のうちから少しずつ片づけようと
夫に伝えていますが何も進みません。

義母とは価値観に大幅な相違があり、
どちらが良い悪いではないと
頭では分かっていますが
彼女の言動に苛立ちを感じます。

もっと気にかけなければと思いますが
思いやりのある対応ができません。

夫も用事があるときしか
母親と連絡をとりません。

夫との関係は良好で、大切な夫の母親を
嫌いでいる状態が苦しいです。

よく相手は自分の鏡だと言いますが、
私は義母との関係から何を学び、
どう自分が変わるべきでしょうか?

アドバイス頂けたら幸いです。

【ももきち・40代・女性・サービス業・富山県】
  
   
―――――――――――――――――   
 

A:FROM 川畑のぶこ
  
価値観が合わず
怒りや悲しみを感じるにもかかわらず、
義母にきちんと向き合おうとする
ももきちさんの真摯な姿勢が伝わってきます。

同時にそのような真面目さが
ご自身をすり減らしてしまっていることも…

このような流れの中で、
ももきちさんが夫と愛ある良好な関係を
保てていることは大きな救いで
素晴らしいことです。

夫婦はもともと他人で、
結婚は異文化交流の場ですから、
ましてやその親兄弟となると
もっと距離感が出てくるのは当然です。

相手と自分の価値が異なるときに、
どちらが良い悪いではないことは
ももきちさんも理解しているとのことですが、
苦しみはももきちさんが
その距離を縮めなければと
努力していることにあるように見えます。

ここはひとつ、ももきちさんが
直接お手柄を立てることにこだわらず、
夫に言いたいことを伝えた上で、
夫の家族のことは
夫に任せてみてはいかがでしょうか?

私たちは、家族であっても、
それが夫婦であっても
適度な距離感というのは大切です。

どちらかに合わせて仲良し家族を演じるべく
ベッタリする必要などないのです。

むしろ、私たちは
自分のパーソナルスペース(縄張り)を
侵されたと思うと、不快に感じたり
怒りを感じたりします。

相手が困っておらず、頼まれていないのに
片づけや掃除をしてはいけないのも
このためです。

良かれとしてあげているつもりが
相手のパーソナルスペースを侵して
関係が悪化するだけという
残念な結果になります。

また、無理をすれば
相手に貸しをつくった感覚に陥りますが、
相手はそもそも自ら頼んでいないので
ありがたく思わないかもしれませんし、
借りを返そうという発想に
至らないかもしれません。

すると、そのことに
恨みの念を抱いてしまいます。

お金の援助も無理せず、
もしそのようなゆとりがないのなら、
それを率直に伝えれば良いだけです。

求められたら与えねばならないと
無理をしようとするから怒りが湧きます。

親はあるのにくれないと思っているだけで、
そもそも与えるお金が無いとわかれば
そこまで要求しないかもしれません。

お金の援助ができないのなら、
はっきりできない、
あるいは少額ならできるなら
そのことを伝えてみてください。

心理学用語にバウンダリーと呼ばれる
大切な概念があります。

バウンダリーとは、
心理的、感情的、物理的な境界や限界を
指しますが、人間関係においては、
個人の価値観、感情、
プライバシーを守るための線引きのことです。

好きでもない相手、むしろ嫌いな相手に
好かれようと無理な努力をして
近づこうとするから、
疲れて相手が嫌になりますし
相手もそれを感じとることでしょう。

バウンダリーを設けて無理をしなくなれば、
相手のことを悪く思わなくて済むように
なりますから、
自分自身も相手も守れますし、
ストレスを軽減できます。

大切にしたいから近づくのではなく、
大切にしたいからこそ
適度な距離を置くのだと
考えてみてください。

健全なバウンダリーは
自他を尊重することに繋がり、
むしろ良好な関係に必要なことと
考えてみてください。

私たち人間は好き嫌いがある生き物です。
みんなを好きになるのは
不自然で不可能です。

たとえ夫のことが好きだからと言って、
夫の大切なものまで好きになる必要は
ありませんし、
夫ですら距離をとっているものであれば
なおさらその必要はありません。

分かり合えないことがあってよい。
全てを好きになる必要などない。
すべての人に好意的に思われなくてよい。
家族であっても距離をとってよい。
価値観の合わない姑は嫌いのままでよい。

といった具合に、
執着を手放す潔さを育んでみてください。

みんなに好かれなくてよい。
みんなを好きになれない私で良い。

ももきちさんは
それでも素敵な人なのですから。

    
   
   
ーーー

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Younf,Female,Sitting,Alone,In,Green,Forest,Enjoys,The,Silence

Q:25歳の娘のことです。
大学を中退し、引きこもっています。
県外に5年位いました。
  
何の楽しみもない、
生きている意味がわからない、
死にたいと口にします。
 
いろんなことに敏感で、
傷つくことを恐れているので
人とかかわることもほぼないです。
かつていた友だちとも関係を断っています。
 
親子関係も崩れ、
父親とはメンタルが壊れるほどのことがあり、
連絡を絶っています。
父親は県外にいます。
 
私とは深い話をすることもありますが、
食事の時はひとりでゆっくりしたいと言って、
その時間は私は外出することになっています。
 
食べることだけが楽しみだと言っているので、
それは救いです。
 
あれこれリクエストもあるのでできるだけ、
叶えるようにしています。
 
敏感な分、人の気持ちもよくわかり
私が悩みを話した時は、とてもしっかりした
的確なアドバイスをしてくれます。
 
私自身、子育て中、
子どもの思いに寄り添うという視点がなく
レールの上にのせることしか
考えていなかったことが、
おおいなる反省です。
 
その頃のことを、あれがいやだったなど
一時はよく言っていました。
その頃はじぶんの思いが言えなかったとも。
 
今はあれこれ
指示も干渉もしないことを心がけ
じぶんの人生と切り離すように考えています。
 
影響なしではありませんが、
出来るだけ楽しむようにしています。
 
母親のことも好きではありません。
仕方なく同じ家にいます。
一人暮らしをしたくても出来ませんし。
 
敏感な分、感性は豊かだと思います。
曲を作ったり物語を書いたりと
溢れるものを持っていると思います。
今はそれもしんどいようです。
 
自然と接するのが一番、
その状態ではだれでもそうなるよねと
話したところです。
 
海まで乗せて行ってと言って
砂浜で波の音を聞いたり
裸足で歩いたりしていた時期も
あったのですが。
 
一緒にいるので生存確認だけはできるので
それは安心なのですが笑
数日顔を見せないこともあるので。
 
病院には1回だけ行き
話を聞いてもらったこともあります。
 
よかったとは言ってましたが、
また行くといいながら
かなり日がすぎました。
 
乗り物にも酔いやすく
いろんな意味で腰が上がらないようです。
 
何事も本人次第なので
特には勧めることもなく干渉していないです。
 
いろんな楽しい事が
世の中にはたくさんあるし
ひとりでも勿論できますが、
だれかと繋がりがもてたらいいなと
望んでいます。
 
とにかく気持ちが楽になってほしいです。
アドバイスをお願いします。
 
【ちゅうりっぷ・60代・女性・パート】
 
―――――――――――――――――
 
 
A:FROM 川畑のぶこ
 
愛する娘が生きる意味を見いだせずに
苦しんでいるのを見守るのは
とてもつらいことですね。
 
ちゅうりっぷさんの親心としては
一刻も早くこのような状況から脱却して
楽になってほしいと願うのは当然のことと思います。
 
しかしながら、ここはどうか焦らずに、
いまは娘さんが自身の人生の課題に向き合う過程であり、
   
たとえ親からはその期間が長いように思えても、
彼女なりに時間をかけて試行錯誤しながらも
課題をクリアしていくプロセスであることを
信じて寄り添い、見守ってあげてください。
 
「彼女なりの道」を尊重するのは、
親からみるともどかしくて、
   
早く楽になるための方略や枠組みをさっさと提示して、
それに沿って生きてほしいと願うかもしれません。

ただし、それは
ちゅうりっぷさんご自身の生き方であって、
彼女自身の生き方ではないので、
娘さんが「自分の人生を生きている」実感を
損なってしまうこともあります。
 
そのような意味で、
今回ちゅうりっぷさんがレールを敷いてきた
過去の反省を踏まえて、
干渉しすぎずに見守る姿勢は素晴らしいと思います。
 
娘さんがいま、
友達や父親から距離をとっていることは、
敏感に影響を受けやすい自身を守るのに
どうしたらよいか彼女なりに考え、
大切で必要な行動をしていると受け止めてください。
 
彼女なりのレールを敷いて、
きちんとニーズを満たそうとしているわけですね。
 
ニーズを満たすのは、かならずしも
楽しかったりワクワクしたりすることをするのではなく、
痛みや苦しみを取り除くことも大事なニーズです。
 
これまで周囲の空気を読みすぎて
周囲に合わせてばかり、
自己主張してこなかった彼女が
「NO」と言えるようになっていることは、
 
ある意味健全なことであり、
大切な精神的成長とも言えるのです。
 
母親であるちゅうりっぷさんに
昔の言動が嫌だったということを率直に
コミュニケーションしていることも然りです。
 
そのようなときは、
娘さんの正直なコミュニケーションを受け止め、
話してくれたことに感謝し、
 
反省するべき点があればそれをきちんと認めて詫び、
ちゅうりっぷさんご自身もさまざまな限界のなかで、
ゆとりがないながらに模索して
子育てに必死に取り組んできたことを、
言い訳ではなく丁寧に説明をしてみてください。
 
そして、今後は健全な愛情表現や関係性を
学んでいきたいことを分かち合ってみてください。
 
また、娘さんが感性が豊かで作曲したり
物語を作ったりすることが得意ということであれば、
多くの創作活動家がそうであるように、
彼女のパーソナリティーとして
「一人の時間や空間」が重要になってくると思います。
 
病んでいるから
本来社交的なのに引きこもる人もいますが、
本質的に一人の内省的な時間が好きで必要な人もいて、
その状態が健全な人もいます。
 
一人の時間や空間が日常的に確保されないと、
本格的に引きこもる(社会から断絶)ことで
ニーズを満たそうとしてしまいます。
 
人と関わることが好きで世話好き、
おしゃべり好きな母親と、
一人の時間が大切で
口数が少ない子どもとのあいだでは、
   
歯車が噛み合わず、ミスコミュニケーションや
人間関係におけるストレスが
起こることも多いです。
 
ですので、娘さんが
「食べるときだけは一人で」と願い依頼するのは、
彼女が正常でいられるように
自分のニーズをきちんと把握して
満たしている行為でもあります。

「食べることだけが楽しみ」とありますが、
食事だけでなく、一人の静かな時間も
満喫されているのではないでしょうか。

経済的に一人暮らしができないのであれば、
家庭の中に
彼女が自分の世界に浸れる時間や空間を
率先してつくってあげてください。
 
母親が娘のニーズを知って受け入れ、
落ち着いていることは、
娘さんにとっても安心感と自己肯定感を
もたらしてくれるでしょう。
 
「生存確認ができる」
と半分笑いごとのように表現されていることも、
本当は恐ろしくて泣きたい気持ちもおありでは
と思います。
 
ただ、前述のとおり、
娘さんにとっての一人の時間は、
心のエネルギーをチャージし
想像力や創造力を培う時間でもあることを
忘れないでください。
 
娘さんが一人になりたいとか
一人で海を散歩してきたいなどと言ったなら、
「一人の時間は大事だね。」
「いいね。リフレッシュしてきてね。」
などと送り出すと良いでしょう。
 
また、ちゅうりっぷさんから率先して
「気が乗ればまた海でも行かない?」
と気分を確かめつつ、
促すのも良いのではないでしょうか。
 
これは干渉ではなく提案やお誘いです。
もちろん、
相手にNOというスペースを与えての
コミュニケーションです。
 
内省的な人は、外部からの働きかけがあって
ようやく動くこともありますので、
ここいちばん、という大事な場面では、
声掛けや提案はしてみると良いと思います。
 
通院も同様に、行ってみて良かったけど
なかなか重い腰が上がらないのであれば
同様に「病院もう一回いかない?」
と誘ってみてください。
 
たとえ「行かない」と答えても、
いつでも行きたくなったら言ってねと、
サポートはいつもあることを
オープンにしてみてください。
 
くり返しますが、
行っても行かなくてもOKの前提での
お誘いです。
 
どっちでもOKな自分を受け入れてくれる場は
心地よく、いつでも戻りたい安全基地と
なることと思います。
 
娘さんがお母さんに
リクエストをするとのことなので、
それは信頼の証拠であり、
 
ちゅうりっぷさんが
きちんとつくりあげてきた
素晴らしい絆だと思います。
 
ぜひ、その絆を大切にしながら、
一呼吸おいて互いの課題に
向き合ってみてください。
 
また、ちゅうりっぷさんご自身が
安らげる時間も引き続ききちんと確保して、
サポートのエネルギーに変えてください。
 
   

ーーー

 
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0224(大)

FROM 川畑のぶこ

ゆきんこさん(40代・女性・パート勤務)
のご相談にお答えします。

【Q】48歳、主婦業をメインにしながら
パートも少しやっています。
夫と、高1と中1の娘との4人暮らしです。

毎年、大晦日から3泊4日で
義実家に帰省するのが慣わしで、

義理の母や義理の姉とともに
たくさんの料理を作り、
元旦から2日にかけて集まってくる親戚を
もてなし、後片付けをして帰宅します。

結婚以来ずっとなので、
かれこれ20年近くもそれが続いています。

自宅に戻った頃には私は心身ともに疲れ果て、
自分たちの正月を楽しむ余裕などありません。

年齢的・体力的なこともあるのか、
今年は特に、疲れてしまいました。

この先、いったいいつまで家族揃っての
帰省を続けるんだろう?と
疑問に思うことが近年、増えました。

夫が自由に実家へ帰るのは
もちろん構いません。

でも、この先、子どもが自立したり
行かなくなったりしても、
夫と私とで帰省を続けるのだろうか? 

私まで毎回ついていく必要があるのだろうか?
と最近、面倒に感じるようになりました。

娘たちも、それぞれ友達付き合いや
部活のことなどもあり、
「もう行きたくない」と言い始めました。

上の子は、前回の正月は
高校受験を控えていましたが、
勉強道具を持って一緒に帰省、

あちらではさほど勉強できず
焦っていましたが、
帰ってきてから頑張って、希望校に合格。
よく頑張ったと思います。

一方で、義理の両親は孫に会いたがります。

それは自然なことだとは思いますし、
私としても、たまには娘たちの顔を
見せたい気持ちはありますが、

毎年、年末年始の貴重な時間を
義実家で過ごし、気力も体力も削る
のはもう限界です。

次回からは、もし行くなら
夫だけで帰省してほしい、、、
そう切り出したいのですが、

両親に気を遣うタイプで、
嫁としての私の振る舞いも気にする夫が
どう反応するか、考えると怖くて、
なかなか言えそうにもありません。

娘たちの受験などを
理由にできればよいのですが、
それはまだ2年も先のこと。

あと1回我慢して、受験を機に
「義実家帰省から引退」宣言をすれば
スムーズでしょうか?

川畑さんなら、どうされますか? 
お知恵をお貸しください!

【A】今この動画をご覧の方たちの中にも
「うんうん…」って共感している方が
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

先月・今月は、お正月疲れや帰省疲れが
出た方も多かったと思います。

ゆきんこさん、
ものすごく誠実で真面目だから
悩んでいると思うんです。

適当に済ますことができないというか、
やるからには徹底的にきちんとやろう、
いい嫁をしよう、いい子でいよう
と思うから、疲れてしまうのかなと
思うんですね。

川畑さんならどうしますか?と
訊いてくださっているので、
私の場合をお話ししますと、

もし、私が義理の家族と
年末年始を過ごすとして、

自分が疲れてしまう相手であれば
そこまで気に入ってもらう努力はしません。

ちょっとぐらい嫌われちゃっても、
嫌な嫁って思われちゃってもいいかな
という開き直りというか、
居直りというか、をすると思います。

だからと言って、わざと悪意を持って
コミュニケーションするとか
接するとかではなく、
自分のできる範囲でできることをやる。

お正月だから挨拶には行く、
料理も準備と片付けぐらいは手伝う、
でも、それをやったら、
必要以上に気に入られようとはしない。

気に入られて完璧な嫁をやろうとするから
疲れてしまう、
というのもあると思うんです。

ご主人の力も、うまく借りられると
いいですよね。

続きは、ビデオでお話しします……

ーーー

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0217(大)

FROM 川畑のぶこ

あさちゃん(30代・女性・専業主婦)
のご相談にお答えします。

【Q】30代の専業主婦です。
夫は会社員で、仕事が忙しく不在がち。
私は3歳と1歳の子どもを育てています。

専業主婦なので、家のことや
子どもたちのことは極力、親を頼らず
自分で対処するよう心がけています。

それでも、家から徒歩7〜8分の所に住む母に
どうしても助けてほしい時があるのですが、
断られることが多く、
そのたびにとても悲しい思いをしています。

私は2人姉妹の姉ですが、幼い頃から
母は妹ばかりをひいきしていました。

妹の方が可愛いのだろうと諦めつつも、
どこかで母に認めてもらいたい気持ちが
ずっとありました。

でも、今またそれが辛い形で現れています。

妹夫婦は共働きで、
車で1時間ほどの所に住んでいますが、
母は何かあるたびに
妹の子どもを預かっています。

一方で私が、いろいろやりくりしても
どうにもいかず、
最終手段として母に頭を下げて
「助けてほしい」とお願いしても、

「予定があるから」とか、「翌日妹の
子どもを預かる予定にしてるから無理」
と理由をつけて断られることがほとんど。

上の子と私自身が同時に
インフルエンザになった時には
どうにも立ち行かなくなり、

ヘルプを頼んでも、
あっさり断られた時には涙が出ました。

ママ友には「お母さんが近くにいていいね」
と言われますが、実際には、年に1〜2回、
私の頼みたい時と母の機嫌のいい時が
たまたま重なれば、お願いできる程度。

遊びや息抜きで気軽にちょくちょく
預けるなんて絶対に無理です。

それなのに、母は人前では
協力的で献身的な祖母を演じるので、
周囲から「いいね」と言われるたびに
惨めな気持ちになります。

母がどうして妹ばかりを優先するのか、
私には分かりません。でも、母を愛する
気持ちは今も昔も変わりません。

そんな母が勧めてくれたからこそ近くに
住んだのに、この状況がとてもつらいです。

どうすれば気持ちを整理して、
この先もやっていけるでしょうか。
心の折り合いをつける方法が知りたいです。

【A】お母さんに対する愛があるからこその
辛さですね。

第一子、長子には
下の子ばっかり甘やかされて、可愛がられて
えこひいきされて…と、同じような経験を
している人も多いのではないでしょうか。

でも、あさちゃんのお母様も、
本当は、あさちゃんも妹さんも両方
可愛がりたいのです、愛しているのです。

でもそれがままならず、結果として
長女であるあさちゃんには厳しくなり、
妹さんには甘くなるという

歪んだ愛情表現になってしまったのだと
思います。

長子というのは、
特に同じ女性である長女というのは、
母親が自分自身を投影しやすい存在です。

自分の分身みたいに思ってしまうので、
自分に厳しいお母さんであればなおさら、
長子にもやはり厳しくなってしまうんですね。

なので、あさちゃんのお母様にはお母様の
課題があって、そうせざるを得ない理由が
あったんだという深い理解をしてみると

あさちゃんの持っている怒りや悲しみ、
苦しみが少し和らぐのではないかなと思います。

同時に、あさちゃんがずっと満たされたい
と思ってきたご自身のニーズや、
今も感じているお母様への愛情を
率直に伝えてみるというチャレンジを

勇気が要りますが、
ぜひしてみていただきたいなと思います。

あさちゃんが自分を大切にするという儀式
としてとても意味のあることです。

続きは、ビデオでお話しします……

ーーー

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