【Q】はじめまして。
50代の女性です。
実家の庭のことで悩んでいます。
実家には80代の母が
一人で暮らしています。
父は2年前に他界しました。
父は生前、庭をとても大切にしていて、
季節ごとに業者を呼び、
植栽や剪定などを欠かさない人でした。
母はその頃から庭に特別な関心はなく、
父が亡くなってからは
手入れがほとんどされていません。
私は今、実家から車で2時間ほど離れた
所に自分の家族と住んでいます。
日帰りで様子を見に行こうと思えば
行けますが、毎週というわけにもいかず、
季節によっては、行った時には
雑草が伸び放題になっているというのが
現実です。
実家の地域のシルバー人材センターに
依頼したこともありますが、
草取りをしても、しばらくすれば元通り。
いたちごっこです。
「もういっそ、庭をなくして
コンクリートで固めてしまうのはどう?」
と母に提案したこともあります。
ですが母は、
「お父さんが大事にしていた庭だから…」
と乗り気ではありません。
たしかに父の思い出が詰まった場所
ではありますが、
今の母の気力・体力を考えると、
維持管理は容易ではなく、
かといって放置しておくのも気になります。
結局、私が行くたびに、できる範囲での
草取りや片づけをするのですが、
帰る頃にはぐったり。
母の「ありがとう。お父さんが喜ぶから」
という言葉を聞くたび、
どこかモヤモヤした気持ちになります。
「庭=父の思い出」として
母が手放せない気持ちも分かりますし、
「放っておけない」と
動いてしまう自分もいます。
草取りや剪定だけでも定期的に業者に頼む
という方法が現実的なのかもしれませんが、
それなりに費用がかかりますし、
母が元気なうちはそれで良くても、
将来的には子どもたちである私や兄弟に
管理が任されることになるわけで、、、
それならば、
母がさほど庭にこだわらないのであれば、
早めに手を打った方がいいのでは、
と思ってしまうのも正直なところです。
父の思い出を大切にしつつ、
今の暮らしに合った形で庭を手放す、
あるいは変えていくにはどう考えたり、
動いたりしたらよいでしょうか。
何かヒントをいただけたらうれしいです。
兄が一人いますが、
遠くに住んでいるうえに年中多忙のため、
この話はまだしていません。
【もみじ・50代・女性・パート・群馬県】
【A】ご相談くださりありがとうございます。
お父様が大切にされていたお庭、
それを守りたいお母様の気持ちと、
現実的な維持の大変さとの間で揺れる
もみじさんの複雑なお気持ちが
よく伝わってきます。
お母様にとって庭は、
単なる物理的な空間ではなく、
お父様とともに過ごした時間そのものを
象徴する、大切な思い出の場所になって
いることと思います。
お母様の「お父さんが喜ぶから」という
言葉には、お父様が大切にしてきたもの
を保存することで、いまもなお、
お父様とつながりを保ちたい願いが
込められているのではないでしょうか。
庭は絆の象徴なのかもしれませんね。
ただし、同時に
管理しきれない現実があり、それを
娘であるもみじさんが背負っている…
この構図は、象徴的な遺産を
次世代がどう受け継ぐかという
普遍的なテーマでもあると思います。
まず、実際に庭をどうするかの前に、
お母様にとって、庭にどのような思いが
込められているのかを、
優しく丁寧に対話しながら聴く時間を
持ってみてください。
たとえば、
お父さんが大切にしていた庭の、
どんなところが一番好きか、
または、もしお父さんが今ここにいたら、
どんな庭にしてほしいと思うかなど、
尋ねてみるのも良いかもしれません。
お母様が形よりも気持ちを守りたいのか、
あるいは風景を保ちたいのかによって、
対応の仕方も変わってきます。
今、もみじさんの選択肢は、
庭をこれまでどおり維持するのか、
それともコンクリート化して庭をなくすか
という全か無かの二者択一状態かと
思います。
ここで、もうひとつオプションを
つくってみてください。
それは、
庭を縮小するというやり方です。
お父様が中でも大切にしていた木や
お母様が気に入っている草花など、
象徴的な“一軍”の植物を絞り込んで
維持する方法です。
たとえば、
お気に入りのツツジや松を数本残し、
その周囲を砂利にしたり、季節の草花は
花壇やプランターに移して楽しむことも
できるのではないでしょうか。
お父様の思い出の庭のエッセンスを残す
ことで、お母様も思い出を楽しむことは
できるでしょう。
メンテナンスも、庭の規模を縮小したこと
でお母様ご本人が楽しめるようになるかも
しれませんし、
もみじさんや業者がサポートするにしても
負担が軽減され楽にサポートできるように
なるでしょう。
外注との併用もよいですし、たとえば、
定期的な草刈りを人材センターに、
年2回の剪定だけ業者にお願いするなどの
方法もよいのではないでしょうか。
お父様の思い出が大切であれば、
庭以外にも「お父さんの思い出コーナー」
をお母様が触れられるところに
設置するのも良いかもしれません。
季節ごとの庭の写真や石や樹を
少しだけ記念に残すことで、
お父様の写真を飾ることで、
お父様の息遣いを感じられるでしょう。
庭を残さなくても
思いを残すことはできます。
お父様へのリスペクトを形にできるので、
お母様も納得しやすく、もみじさんの
モヤモヤも軽くなるのではないでしょうか。
また、遠方にお住まいのお兄さんが
サポートをするのは
手軽ではないかもしれませんが、
状態を共有しておくことは大切です。
お兄さんに、お母様の今の様子や
庭の現状、そしてもみじさんの負担感を
率直に伝え、
お母様の気持ちを尊重しつつ、
現実的な方向を探りたいという意図を
共有してみてはいかがでしょうか。
お兄さんはすぐに物理的なサポートは
できないかもしれませんが、
年に1度でも帰省した際に
庭の管理がタスクに入るかもしれません。
また、もみじさんの気持ちを彼なりに
受け止め、互いにアイデアを出し合う
などすることで、もみじさんも
「一人でがんばらなくてよい」と
プレッシャーが緩和されるかもしれません。
このように、子どもたちが親のことに
思いやりや優しさをもって耳を傾け、
提案したり行動することによって、
お母様の心も自然に次の段階へと整う
可能性もあります。
また、もみじさんも、ご自身の思いを
伝えて受け止めてもらえたことによって、
より能動的にお父様の思い出を
大切にする気持ちが生じてくるかも
しれません。
ぜひ、ご自身の気持ちを抑圧することなく、
ご家族と思いをシェアしてください。
そして、積極的に助けを求めてください。
ー川畑のぶこ
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