
【Q】はじめまして。
55歳、未婚です。
父が亡くなってもうすぐ1年、
83歳の母と2人で暮らしています。
兄弟はいません。
母は寂しさもあってか
とにかく話し相手が欲しいようで、
朝から晩までご近所の話や愚痴など、
とりとめのない話を延々と続けます。
最初はうんうんと聞いていても、
途中で私の返事が少なくなると
「ちゃんと聞いてない!」と怒り、
不機嫌になり、テレビを大音量に
してずっと無言で見ています。
毎日のことなので、
正直、私もかなり疲れています。
父が大病をした数年前、
私は看病のため、契約社員として
勤めていた会社を辞めたので、
今は定職も収入もありません。
本当は母と別居すれば
少しはラクになると思うのですが、
経済的にその余裕がありません。
家の中のことや母の相手をしていると
なんだかんだとやることも多く、
1日はあっという間に終わります。
私も年齢的に気力・体力が少しずつ
衰えているのか、新たに仕事を探す
気力もなかなか湧かず、
結局この生活をダラダラと
続けてしまっている自分にも
嫌気がさしています。
母に対して「このまま一緒に暮らす
のはしんどい」と思う一方で、
仮に今から別居をするとなれば
それだけの収入を得なければならないし、
何より、老齢の親を見捨てるような
罪悪感があり、どうしたらいいのか
途方に暮れています。
年老いてわがままになっていく
母との距離感を、
どう取っていけばいいのでしょうか。
【モモンガ・50代・女性・無職・愛知県】
【A】とても正直なお気持ちを
言葉にしてくださいました。
これだけでも大きなステップでは
ないでしょうか。
親の老いと向き合いながら、
自分自身の人生も見つめなおす――
これは多くの人がぶつかる
大きなテーマです。
とくに一人っ子で、親と長く
同居されてきた方にとっては、
心身の負担と「罪悪感」が
複雑に絡み合いやすい状況です。
まず、 母の寂しさとモモンガさんの
疲れは共存して当然ということを
覚えておいてください。
お母様が愚痴や世間話を繰り返すのは、
「話を聞いてほしい」「ひとりが怖い」
という寂しさの裏返しかと思います。
でも、それに四六時中付き合うことは
モモンガさんの心身のエネルギーを
すり減らします。
ここで大事なのは、「母の寂しさを
すべて受け止める責任がある」という
思い込みを手放してみることです。
モモンガさんが疲れているのは
冷たいからでも親不孝だからでもなく、
お母さんのすべてを一人で抱え込んで
しまっているからではないでしょうか。
そして、相手とのあいだに
境界線(バウンダリー)を引くことは
冷たさではなく「健全な距離」です。
人間関係には、どんなに近い間柄でも、
たとえ親子であっても、
適度な距離が必要です。
特に親子関係では
この線が曖昧になりやすく、
「全部応えなければ」という気持ちに
なりがちですから注意が必要です。
たとえば、こんな工夫をしてみるのは
いかがでしょうか?
・母とのおしゃべりタイムを
あらかじめ時間で区切る
(「夕食後30分」など)
・それ以外の時間は、
「今は自分の時間ね」と
やさしく線を引く
・一方的な愚痴には
「へえ」「そうなんだ」と短い相槌で返す
(全部に丁寧に反応しなくてもいい)
最初はお母様が反発するかも
しれませんが、これは決して
モモンガさんの冷たさではなく
行動パターンの変化に対する
一時的な反応で、
習慣化することで、少しずつ受け入れ
られるようになる方も多いです。
そして、モモンガさんご自身の
生活の軸を取り戻すことを
大切にしてください。
母のことを最優先にしていると、
自分の時間も気力も削られ
消耗してしまいます。
自分の時間を持つことは
決してわがままなことではなく、
共倒れを防ぐために必要なことです。
たとえば、
・1日10分でも、自分のための時間
(例:散歩・読書・友人との連絡など)
を確保する
・すぐに働き出さなくても、
「生活を母中心から少しずつずらす」
意識を持つ
・近隣の地域包括支援センターや
ケアマネジャーに相談して、
今後の介護や支援体制について
情報を得ておく
などはどうでしょう。
将来のことを見据えて、
即「別居しなければ」といった極端な
選択だけでなく、
距離をとりつつ共存する
グラデーションの選択肢を広げること
が、心の自由度を上げてくれます。
罪悪感が湧くかもしれませんが、
それは「あなたが悪い」というサイン
ではありません。
「親を見捨てるようでつらい」という
気持ちの裏には、
モモンガさんの深い優しさがあります。
でも、その優しさを「自己犠牲」で
燃やし続けると、
モモンガさんが先に壊れてしまい、
結局、あなたのためにも
お母様のためにもなりません。
その罪悪感に振り回されることなく
「これは私の優しさの証」と理解して、
冷静にご自身のための行動を
選んであげてください。
変化や決断をするときは、
いきなり大きな変化や決断をする
必要はありません。
「1日中話を聴く」生活を
「夕方30分だけ」に変える――
その小さな変化でも、自分の心身が
回復していくのを感じられることでしょう。
その余裕が、新しい仕事や
ライフプランを考える気力に
つながっていくことでしょう。
ご自身を大切にすることは、
周囲の人を大切にすることにも
つながることをどうか忘れずに。
ー川畑のぶこ
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