
Q:40代の主婦で、
小中学生の子どもがいます。
夫が診断はないけれどASDで、
私がカサンドラ症候群になってしまい、
必死に立て直して別居して3年になります。
「離婚も別居もしない」
と言われたのですが、
子どもたちもおかしくなってきたし、
私自身が夫といると「死にたい」と
思ってしまうので無理矢理離れて、
やっと自分を取り戻せました。
今は3人ですごく仲良く暮らしています。
夫と子どもたちは
年に数回旅行に行ったりして、
私は引継ぎで5分くらいなら
平常心でいられて、
生活費はちゃんとくれるし、
まぁまぁいい関係です。
世間的には悪いことなのですが、
私には付き合っている人がいます。
既婚子無し同世代の人です。
そちらの家庭もいろいろあるようです。
付き合うといってもメールばっかりで
会うのは年に2・3回、体の関係も有り。
会う時はお互いに大事にし合う
いい関係です。
配偶者からは得られない、
人としての幸せがあります。
「不倫は離婚してからやれ」
が一般論ですが、
離婚って、そうそうできないです。
「結婚という制度に無理がある」
と思います。
不妊治療時代からセックスレス、
カサンドラ症候群、
でも離婚しないと夫に言われたら、
一般論じゃ私は幸せになれません。
制度の中で幸せな人はいいな、と思います。
でもそうじゃない人もいるわけで、
中の人に迷惑かけなければ
放っといてほしい。
あちらの奥様に知られたら
自分の貯金から慰謝料を払う覚悟くらい、
ある。
不倫否定派の知識人の方の文章に
「子どもが知ったらかわいそう」
とあるのを先日読みました。
私は、全くそう思わないんです。
わざわざ知らせることはありませんが。
これは、
子どもが知ったらかわいそう、
でしょうか?
【mm・40代・女性・主婦】
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A:FROM 川畑のぶこ
とても複雑でデリケートな問題であり、
mmさんの思いと現実の葛藤が伝わってきます。
人の感情は法律によって動くものではありませんし、
辛いときや寂しいときに
どこかに癒しや安らぎを求めるのは
自然なことでしょう。
私たちには一人ひとりに
幸せや心の平穏を追求する権利があります。
長い間、カサンドラ症候群や
心の負担を抱えながらも、
子どもたちの幸せも考えて
mmさんなりに努力されてきました。
自分と子どもの幸せを守ろうとされる姿勢は
とても尊いことです。
一方で、子どもが知ったら可哀想か
ということに関して、mmさんは
「まったくそうは思わない」
とは言いつつも、いろいろを調べられたり
このようにご相談されているということは、
少なからず人の道に
外れてしまっていることへの
罪悪感があるからかと思います。
社会的な制度の枠を超えて、
自分が幸せになるための選択を考えることは、
ときとして間違いでないこともありますが、
周囲や子どもたちに与える影響も
考慮したときに、長期的な視点からも
本当に幸せにつながるのか?
は慎重に見極める必要がありそうです。
子どもに知られたら可哀想かどうかは、
ケースバイケースでしょうし、
子どもたちの年齢や性格、精神的な成熟度、
子どもたちから見た夫婦関係と
それによってもたらされる
家庭の空気感によっても異なるでしょう。
子どもにとってはお母さんの不幸な姿を
目にし続けることのほうが
可哀想なこともありますし、
「死にたい」と思うのに
「子どものために」
と自己犠牲を払い続けることは
良い社会的モデルにもなりません。
それよりも、子どもたちなりに
父親の理不尽さを理解している場合、
母親が果敢に困難を乗り越える姿勢が
良いモデルとなることもあります。
ただし、子どもがすでに
大学生や社会人ならまだしも、
今はmmさんが
「知らせる必要はない」と感じているのは、
やはりどこかで
小学生や中学生のお子さんたちが、
自分の母親が不倫をしているという事実は
受け入れがたく、
混乱や不安で傷つく可能性を
感じているからでしょう。
現状、そのバランスの見極めは
デリケートと言わざるを得ませんし、
子どもたちに必要以上の情報を与えず、
同時に、子どもたちが何かを感じ取った場合、
それにどう対応するかも考える必要があります。
mmさんは制度によって苦しんでいると
訴える一方で、夫からの婚費と養育費の
定期的な支払いという、
まさに結婚制度の恩恵も享受しているので、
「そうそう離婚できるものではない」
というご自身のダブルスタンダードにも
気づかれていることと思います。
制度や法は私たちを縛ることもあれば
守ることもあるのですね。
さまざまな価値観の人が暮らす中で、
無法国家なら得られない安全安心な生活を、
ひとりひとりの基本的な人権が
損なわれぬように、大多数の人が
安心して幸せに暮らせるように
つくられた智慧です。
mmさんが相手の妻に知られた場合の
慰謝料に関して言及しているのも、
自分が幸せを求める行為が、
不貞相手の妻の幸福を得る権利を侵害する、
ご自身にその権利はないことを
理解されているからと思います。
そう、みんなmmさんとおなじように
幸せになりたいのです。
そしてそれは尊い姿勢です。
mmさんには、法治国家に暮らす以上、
周囲の権利を侵害することなく
その制度を理解し活用して
ご自身やお子さんの幸せを追求するには
どうしたらよいかを
賢く考えていただきたいと思います。
不貞行為が相手の妻に知られた場合、
一度の慰謝料を払って終わりと
mmさんはお考えかもしれませんが、
相手が法律家を立て
和解契約を結ぶなどの場合、
それ以降に不貞行為があった際の
ペナルティーが課される可能性があります。
すると不貞行為の度に数十万から数百万円の
ペナルティーが課されることがあるので
その覚悟が必要です。
また、不貞の常套句
「妻との関係は破綻しているんだ」
を鵜呑みにすると、
現実はそうでなく、
不貞相手の妻には夫への愛情があったり、
彼自信もまだ妻への愛情があって
不貞行為のときには
妻との不満部分のみが切り取られて
伝えているなどといった場合に、
相手の妻の苦しみや恨みによる感情応報は、
お金以上の負担になる可能性もあります。
さらに、そこに子どもたちが
巻き込まれるとなると、
大きな混乱につながり
幸せや平穏な暮らしから程遠くなる可能性が
あることも覚悟しましょう。
さらには、不貞行為が相手の妻だけでなく、
夫に知られた場合、mmさんは有責配偶者
(婚姻関係を破綻させた責任を担うもの)
となり、mmさんからの離婚請求は
原則として裁判では
認められなくなってしまいます。
逆に夫が離婚を求めた場合は
mmさんが経済的理由で
離婚したくないと望んだとしても、
離婚が認められる立派な事由になり、
夫から賠償請求されることもありますから
その覚悟も必要です。
では、諦めて泣き寝入りなのか?
というとそうでもありません。
mmさんが夫との
健全なコミュニケーションが難しい場合、
中立的な第三者を介した話し合いとして、
離婚調停を起こし、養育費を確保して
離婚することも可能です。
調停を起こすことで夫に真剣度も伝わり、
話が進むこともあるでしょう。
配偶者がASDだというだけでは
離婚事由として乏しいですが、
●すでに別居を3年以上していること
●不妊治療をしていたころから
セックスレスであること
●夫の態度によって「死にたい」くらい
精神的苦痛を感じていること
※きちんと精神科や心療内科を
受診してください。
後に記録が必要となる可能性もあります。
●子どもたちも父親の態度で
おかしくなってきていたこと
などを事由として、
調停が進むこともありますし、
万一調停が不調で機能しなかった場合は、
裁判官の判断で、離婚請求が
認められる可能性もあります。
(ただし、繰り返し、mmさんが
有責配偶者となった場合は
難しくなるので注意が必要です。)
このように、mmさんが
感情に流されることなく、
地に足をつけてご自身と我が子の幸せと
平穏な暮らしを願うなら、制度は
mmさんに有利にはたらくこともあります。
最後に、寂しさや幸せは、
本当は制度の問題ではなく、
mmさんの生きる姿勢で変わることを
知っていただきたいです。
制度がある国でもない国でも、
置かれた場所で人生を切り開き
幸せを体験できる人もいれば、
不満に目を向けて不幸に暮らす人もいます。
大切なのは、依存心を脱却して
自立心を育む姿勢でしょう。
人生にはたくさんの幸せの種が
散りばめられています。
異性のパートナーとの関係以外にも
目を向けて、
日々夢中になれることに取り組んだり、
さまざまなつながりの中に
身を置いたりして
ご自身のニーズを満たすことができたなら、
経済的にも、心理社会的にも
高いリスクを背負わずに
人生を切り開いて行くことが
できるかもしれません。
ぜひ、長期的な視点で、mmさんご自身と
お子さんの幸せを追求してみてください。
応援しています!
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